鷹のレーサーの墓標の地、蒼鷹町

関東のG県、山に囲まれた土地、蒼鷹町あおたかちょう

所謂田舎町というべきか、大きな商店街があり、そこを中核とした経済圏を築き上げている…大きくはない街

かつて、フォーミュラ、ラリー、ダカール・ラリー、スーパーGT…ほとんどのレースを制するという、前人未到の偉業を成し遂げた英雄的なレーサーがいた

ミスターホークマン、鷹の被り物を被り、素顔素性を明かさない謎のヒーロー的なレーサー…子供も大人も、ヒーロー的な存在だったが…今から6年前に彼は帰らぬ人となった

単独の交通事故、愛車の美しい色合いの青色のR35と共に電柱にぶつかり、車体は炎上し…彼は車と炎と共に燃え尽きた

ホントに何の変哲もない一般道…そう、この蒼鷹町の道路で彼は死んだのだ

そして、オレはその事件現場に来ていたが


「…誰か花を置いているな、これは…青いバラ?ブルーローズか?」


一本巻きのブルーローズが、事故現場の電柱に捧げられていたのだ…献花としては相応しくないが…ホークマンのイメージには合う、彼のイメージカラーは青色、そして青いバラの花言葉は…


「たしか、”夢を叶える”だっけな?洒落たことをするものがいたものだな…枯れてないところ見ると、ドライフラワーか」


青いバラの隣に、花束を置き、献花する


「ホント、何の縁か…ホークマンの死んだ地に、転校することになるとはな…嬉しいというべきか…なんというべきか」


話は数か月前、蒼羽町のG県の隣県に位置するS県のstGT名門学校、私立明堂学園モータースポーツ部、このオレ山岡徹也は退部勧告を受け、当時のコーチが薦めたのが蒼鷹高等学校自動車部であった

事情的に、退部勧告自体はやむ得ないと受けいれ、転校先の蒼鷹自動車部もなかなか問題を抱えているらしいが…


「まあ、モータースポーツと車に携われるならどこでも変わらないか…なるようになるか」


季節は4月、蒼鷹高校は始業式から10日過ぎて…ホント、季節外れな転校生だ



蒼鷹高校の学生服を身にまとい、平均的な背丈で、他者か見れば好青年という印象だが特徴のある瞳、まるで宝石のように美しい”金色こんじき”と“紅玉ルビー色”のオッドアイの瞳をもつ青年、山岡徹也

この地とのホークマンとの因縁、そのオッドアイの瞳に隠された彼自身の出生は…まだ知らない

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る