蒼鷹自動車部
県立蒼鷹高等学校
山付近に構え広い敷地を持ち、公立校で数少ない自動車部及びstGTに参加してる学校であり県内でもライト級として有名どころの学校にあたる
裏庭にある練習場であるサーキットは、元は旧道を改造したものであり、パイロンで車が走り回れる程の駐車場もある
サーキットの全長は2500m、ホームストレートは約950m程でコーナー数は11個所
ホームストレートから、第1コーナーから第8コーナーまでタイトセクション、第9コーナーから最終コーナーまでハイスピードセクションとなる
アップダウンが激しく、ドライバーの負担もそれなりに高いコース
蒼鷹自動車部練習サーキット
「どうしてこうなったのかしらね…」
スタートラインに並ぶS660に5m離れて21型のアルトワークス
1on1形式のバトルが今始まろうとしていた
話は数十分前程遡る…自動車部商店街チームガレージ兼第一部室
「それでは、改めまして」
「ようこそ!山岡徹也君!」
大歓迎で商店街チームに迎えられる。
「初めまして徹也君、話は奈緒から聞いたわ。まずは自己紹介ね、私は3年2組
金髪にポニーテール、青い瞳…美人な人だ。スタイル抜群の身長も俺より高いか?
「次は私ね、リリスと同じ3年2組
眼鏡を掛け、手をよく見ればスリキズやらが目立つ…いかにもメカ好きなタイプかな
「はいはい!次は私たちね!私は2年1組
「よ、よろしくお願いします…」
姉に体を掴まれながら、小柄な男子の優輝。活発な姉に内気な弟って所か?
「最後は私ね、改めて鷹見結衣。よろしくね山岡君」
「ああ、よろしく鷹見さん」
「も~結衣も徹也も、同い年なんだからそんな堅苦しい呼び方はしなくても下の名前で呼ぼうよ」
「そうね…私達はチームだからね堅苦しいのはなしでいいわ徹也」
奈緒の意見に同意するリリス先輩、割とフランクのようだな
「早速だけど徹也、今のこの自動車部の現状どこまで把握してるかしら?」
リリス先輩が俺に問いかけてくる
「スポンサーの関連で揉めて、部が2分割した上離脱した部員も多いってところは。ラッシーグループってところの大型スーパーと設立時からスポンサーしてくれる商店街の二つ」
「その通り、そこで校長はどちらか次のstGT県予選で勝ち残った方をスポンサーとして契約するということになってるの」
「…状況的にラッシーチームが有利か?」
ガレージの設備を一通り確認してみる
エンジン室や溶接機やコンプレッサー、タイヤチェンジャー…車用設備としては問題はないがストックしてるタイヤ等をみると殆ど溝のない使い切ってるものがある。そして何よりも
「21型のアルトワークス一台のみか、今のこのチームにはラッシーチームには最低2台はあるんじゃないか?それも最新クラスの」
そう言うとリリス先輩、杏奈先輩が驚いてこっち見て口を開く
「す、鋭いわね徹也…うん、その通りあっちにはS660が2台あるわ」
「ふーむ…あっちと共同して練習とかは?」
「いいえ、ないわ」
きっぱりと杏奈先輩は答える
「練習場のサーキットも曜日で分けて使ってるのよ、使わない日は研究やセッティングを煮詰めるけど」
「む…かなり状況は悪いか…」
そう言うと、優輝と奈緒が
「あの…徹也先輩?状況が悪いって…?」
「こちらがかなり不利な状態に陥ってるということだ」
「それって、車のスペック的な問題かしら?」
「いや、確かにS660という車は厄介だ現状の軽クラス最高のコーナリング性能を持つ。だがもっと問題なのは練習不足なんだ」
「練習不足って、確かに曜日で均等に走る練習量は分かれてるけどあっちが朝練しないぶん結衣は欠かさず朝練してるし、実力なんて…その…」
?少し歯切れが悪く奈緒の口が止まるが、続けてこっちが説明をする
「デュエル方式のレースの練習が出来ていないのが問題だ、stGTの試合形式は予選タイムアタック、上位タイムのチーム同士の1体1で競うレース形式を採用してるだろ?特にデュエルレースの戦いは速さはもちろんのことある程度のなれとパッシング技術が求められる。速く走る練習だけじゃ戦う走りには勝てん、本来チームを二つ以上組んでお互いに切磋琢磨するんもんだがな…経験を積まないで勝てるほど甘くない」
「う…言われてみれば」
「そういえば、あっちの練習見てみれば2台で練習してるよね姉ちゃん…」
なにも言えなくなった奈緒
「へぇ…あなたが明堂から来た転校生?」
部室の扉が開き、ツインテールの女子生徒が入ってくる
結衣がその子の名前を口に出し、奈緒はそのツインテールの子を睨みつける
「加奈ちゃん…」
「何よ加奈、ラッシーチームのアンタには関係ないでしょ?」
「いいじゃないの奈緒、私にも紹介させてよ。私は小柳加奈、ラッシーチームのドライバーよ」
「…山岡徹也だ」
やや間を明けて応え、様子を伺った
どうもこの加奈って子何かしら敵対意識を持ってるというか剥き出しというのが正しいか…喧嘩を吹っかけてきたという雰囲気がある…ただ、非常に可憐ではある
「勝ち目のないチームに所属するなんてマヌケなのかしら?…ああそうか、明堂から転校してくる程だものあっちの自動車部に不要と判断されたのかしらね?」
「……」
不要ね…あながち間違いでもないが…
どうにも、あからさまな挑発をしているように思える。ワザと煽ってる
「加奈!アンタいい加減しなよ!」
怒りの表情で奈緒が加奈に迫る
「先輩方も気になってるんじゃないんですか?なぜあの明堂からここに転校してきたのか?優秀な人間なら手放すことはないだろうし」
その言葉に、リリス先輩と杏奈先輩は反応を示した…少なからず気になっていたことだろう
「加奈、彼がどうであれ今は関係ないわ。悪いけど出て行って願えるかしら?」
リリス先輩がこの場を収束されるのを優先させた…が聞き捨てならないよな…
「何を根拠で勝ち目がないなんて断言できる?来たばかりだからわからんが少なくとも結衣さんの実力は全国クラスに通用する走りをしたぞ。加奈さんのドライバーとしての実力は知らんが…」
「…結衣、伝えていないの?」
「…うん」
「そう…」
奈緒が悔しそうな表情、俺以外全員曇った表情をする…どうしたんだ?
「結衣、デュエルレースで勝負しなさい。語るより、勝負をしてみせた方が手っ取り早い」
「…わかったよ加奈ちゃん、リリス先輩」
「…本気?結衣?」
結衣はリリス先輩を承諾を得ようとしたが…リリス先輩はどうにも苦い顔する
「わかったわ、結衣準備しなさい。勇気、奈緒は車のスタンバイを」
「せ、先輩!?」
「ここまで言われて引き下がる訳には行かないでしょ。それに徹也にもこのことは知ってもらう必要があるわ」
そう言うと、渋々ながら準備をする商店街チーム
練習レース場
「へぇ、あっちがラッシーのS660か…」
白いボディにGTウィングを付け、社外品フロントスポイラーを装着、車高の高さも塩梅がよく映る立ち姿と車体を大きくみえるオーバーフェンダー
「悪くないな」
「一目見ただけでそう言ってくれるか、嬉しいね」
っと見知らぬ男子が声をかけてくる
「俺は2年
「そっちも苦労してるんじゃないか?ありゃ性格もキツイタイプだな?」
そう言うと苦笑いする多田
「ありゃ、結構いい男じゃない?徹也君だっけ?」
小柄な女子が声をかけてくる、隣に大男が立っていた
おいおいデカイな、2mあるんじゃないか?
「どうも3年の
「……」
大男は無口のまま
「こっちは3年生
「それはどうも…」
いるだけで、威圧感すげぇな芝さん…思わず「さん」付けしてしまうぐらいだ…
「鈴。悠一は?」
リリス先輩が桜井先輩に問いかける、そういえばあちらさんの部長の姿が見えない
「悠一は上村先生と会議中、もう少ししたら来ると思うけど…」
スタートラインに並ぶ21型ワークス、5m離れてS660
レース場のシグナルが赤→黄色…そして緑へ変わり2台がスタートする…!
stGT 1on1バトル 基本ルール
・スタンディングスタート方式の先行後追い方式
・先行、後追い車両を5mの距離を離してスタートする
・1セット基本的に5周(コースの距離によって変動有り)インターバルは5分~10分
・勝敗は1周ごとのグリットラインに先頭車両が通過すると、5秒タイマーがスタート
・後追い車両が5秒以内にグリットラインに到達できなければ後追いの負け
・先頭車両を抜いて、5周ゴール、もしくは先程の5秒タイマーで引き離せば後追いの勝ち
・5周以内に勝敗が決まらない場合は、先行、後追いを交代する
・明確な決着がつかなった場合は3本目
・それでも勝負がつかない場合は審議で総合判定で勝敗を決する(タイム、離された距離等)
・試合中はタイヤ交換は認められず、走行不可能等は負け扱いになる
・タイヤのローテーション変更は認められている
・ドライバーは二人以上だが交代は任意であり、一人で1試合走りきってもよい
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます