21日目「また外出ですか」
「よーし歌うぞー!」
美咲は部屋に入ると、早速テンションをあげて操作パネルをいじり始める。随分盛り上がっているようで、鞄すら下さずに夢中になっていた。そう、今日は美咲とカラオケに来ている。アタシとしては2日連続である。まあ、急遽今日のカラオケが決まった理由もまた、昨日の決起集会みたいなものが原因だったのだが。昨日の夜、日中に何をしていたのか聞かれた時、アタシは集会のことだけを隠して知り合いとカラオケ屋に行っていたと誤魔化してしまったのである。カラオケ屋に行ったこと、言わなければよかったと絶賛後悔中だ。
「私に内緒で楽しんでいるからいけないんだよ。ほら、紗奈も曲入れて」
一通り設定と選曲が終わったようで、美咲は席を立ってマイクを構える。この勢いで歌い始めたら数曲で喉に限界が来そうだ。というか、アタシの声を聞いて何やら歌う目的で言ったわけではないようだと気づけないのだろうか。それとも、そんなの御構い無しにカラオケ屋に行ったことが問題なのか。いずれにせよ面倒な彼氏ムーヴに苦笑いしかできない。とりあえず、ドリンクバーで飲み物でも持ってくるか。
「美咲は何飲むの」
まだ前奏のうちに、美咲に飲み物を聞く。まあ、いつも通りならカルピスあたりだろうけど、美咲はたまに突然気が変わる。故に聞いておいて損はないし、ご機嫌取りでもしようというわけだ。
「じゃあ、ミルクティー!」
やっぱり。聞いておいて良かったと、ドリンクバーへと向かう。さて、アタシは何を飲もうか。別に本気で歌うつもりも喉への労りとか気にするようなガチ勢でもないし、ジンジャーエールとかでも飲もうか。なんて考えながらドリンクバーに着くと、なにやら面白そうなものがある。ソフローズン、そういえばそんなものもあったな。今日はやけに暑いし、これにしよう。二人の飲み物を注ぎ終え、部屋に戻ると、ちょうどみさきが歌い終わるところだった。
「やった! 90点!」
大はしゃぎでアタシにスゴイでしょ、なんて自慢する姿に、つい頬が緩む。なんだかんだ、幼馴染ということもあって、こういうところを見るのは好きだ。
「はいはい、飲み物持ってきたから、喉休めながら歌いなよ。明日喋れなくても知らないからな」
「はーい。次、紗奈の番だよ。何歌う?」
美咲はアタシの忠告に話半分で頷く。大丈夫だろうか。アタシは美咲から受け取ったマイクを受け取る前に飲み物をテーブルに置き、自分の歌う曲を選ぶ。さて、何を歌おうかな。
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