第20話 猪口の苛立ち
「はぁ⁉ 本部は動けない!?」
猪口は文字通り開いた口が塞がらない。
その言葉に向かい合った相手、公安部長はいささか驚いた。
「……わかってくれ、上からの指示なんだ。EUやアメリカ、中国と我々は『ツンドラ王国』に対して刺激をしないようにけん制し合っている。我々が下手に動くと他の国を刺激する。外交上、得策ではない」
「対策本部は……」
「あれは、世間の目を誤魔化すダミーだ。世間の目は名無しではなく、あの外国人歌手に注視している。彼には敵が多かった。理由なんぞいくらでもつくれる……」
「……わかりました」
部長室から出た猪口は足早に自分の机へ向かう。
「どう……」
迎えた、彌神は驚いた。
猪口は何とも複雑な表情をしていた。
怒っている。
だが、口は笑っていた。
猪口は誰にも言うわけでも無く言った。
「面白れぇ、本部が動かねぇなら、こっちから動いてやる!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます