第16話 闇に沈む

 ポー・ストークスマンは静かに静かに己の意識を闇に溶かす。

 目を閉じる。

 薄明るい闇になる。

 それまで気にしていなかった音が一気にざわめく。

 体内の心臓の音、車のクラクション、話し声、アナウンス……

 ポーは、そこから

 浸水する様に底へ向かう。

 光がどんどん薄くなる。

 だが、消えない。

 一縷の筋となってポーを導いてくれる。

 光が切れる。

 底だ。

 もう、音はしない。

 静寂だけが支配する。

 心の目も閉じる。

 闇と同化する。


 肉体の目を開ける。

 目標ターゲットに向かい引き金を引く。

 倒れた。

 同時に全ての光、音、感触などがポーに流れ込んできた。

 現場は騒然としている。

 証拠を消すため、もう数発、建物などに向かい撃つ。

 けが人はいないはずだ。


 これが全ての始まり。

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