敬語やめてください

 従者が近侍して日も浅い頃のこと。

「ロスさんお時間ありますか」

 丁寧語はよせと頼むが、

「視察にご同行頂きたく」

「稽古をお願いできますか」

 何度諭しても「慣れない」と苦笑する。

「立場が無いですから」

「でも」

「姫様を見習ってください」

「お兄様、ロスはロスって呼んで欲しいって」

「……ロス」





 ツルの一声。このあとしばらく敬語が崩れるまで頑張りました(ロスに焚き付けられた妹の声のおかげで)。

 殿下、初対面で敬語だったのでね。初対面の人には基本的に丁寧な王族。

 短編で書こうと思っていたネタですが。

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