両方とも怒られたのはこの人から

 男二人を仁王立ちで睨むのは王女付き侍女である。

「殿下、どうして由緒ある正装を盾になど」

「すまない、他に方法が無く」

「だからって布地の調達も装飾もどれだけ手間が……」

 侍女は見事に切れた真紅の布の片割れを手にわなわなと震える。

「貴方も止めなさいよ!」

 控えた従者も逃れること能わず。



 *本編参照。あの服、その後どうしたんでしょうね、というお話。

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