第8話 モチのゆるくてちょいと笑える節分観戦

今日。

いつも通り何となく夜の路地をよちよち歩いていると、お母さんのような声が聞こえてくる。

(お母さん?)「みおちゃん、今日は保育園で何したの?」

(みお)「ん~?きょうはねぇ、おにがきてねぇ...」

え?おに?

(みお)「...それでねぇ、みお、まめまいたの。『おにはぁそとぉ~、ふくはぁうちぃ~』ってね」

(お母さん?)「そう~。節分ね。鬼、ちゃんと退治できた?」

(みお)「うん!ちゃんとたいじできたよ!」

え?今日は鬼が来るの?

すると急に右から足音がした。ドン、ドン、ドン、ドン...

あとに続いて、子供たちのような声が聞こえてくる。「っしゃあ、豆ぶつけようぜ」

(モチ)「あ?もしかして、ここで...?」道路の真ん中で?リアリー?


いつの間にか、見ると、試合が始まるかのようになっていた。

右には男女3人の子供たち、左には鬼。そしてボクはさっきの親子?の家の前にある壁を背もたれにして座っている。するとやんちゃそうな男の子が口を開けた。

(男の子)「おーい、鬼。ウチらをなめんな」

(鬼)「わかった。さあ、かかってこい。俺をもなめんな」

あー、今ここにつまめるお菓子がなんかがあったらいいのに。

(子供たち)「おらー!鬼の嫌いな豆だぞぉ!くらえっ」

(鬼)「痛っ!」

何しているんだろう、あの人達。ボクも参加する手があったが、面倒くさそうだしそれに見ている方が面白そうだったのでやめた。

(鬼)「ハァハァ...ちょっとタイム...」

(男の子)「みんな、今のうちだ!撒けっ」バッ、バッ、バッ..

(男の子)「こんだけじゃダメ。もう箱から投げろ、箱からっ!」

箱から?凄いな...

ザバッ、ザバッ、ザバッ そしてボクはもう言ってしまった。

(モチ)「おーい、そんなに投げて片付け大変になるじゃないの?もうそろそろやめたら?」

(男の子)「うわっ、今の声どっからしたの?」

ここはあえて答えないことにする。

(鬼)「そうだよ。声の主はわかんないけど、俺も疲れたし、もう終わりにしようよ」

(子供たち)「「「えぇー、つまんないのー」」」

(鬼)「ほら、豆拾おうよ」

そう言うと鬼は鬼の顔を...え?本当の鬼じゃなかったの?お兄さんなわけ?しかもイケメンだし。

(お兄さん)「ほら、さっさと拾って風呂行くぞ」

(子供たち)「「「はぁ~い」」」「あぁー、めんどい~」

ボクもこの片付けが終わったらどこか行こう。銭湯とか行こうかな。

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