【FGA:10】試練
鳴り止まぬ歓声に雷人が気圧され始めた頃──レオン王子は"ぴしゃり"と右手を挙げると聴衆を即座に黙ら──「おおい! 静かにしないか! 僕が喋れないだろ!」と聞き分けのない人々に軽く半泣き状態で訴えかけ、しばらく時間を費やし黙らした。
意気揚々とレオリオラ王国の
(見たところ、この国に
つまり。
この国の人間には──レオリオラ王国の民草は──
(いや、カフェにいた4人組の人たちが言ってた──この"聖杯トーナメント"に
すると突然、雷人の耳に亜蓮の「どぇえっ!?」というけたたましい声が飛び込んできた。思わず防御反応として耳を塞いだ雷人だが──すぐに亜蓮の方を向くと「な、何があったの!?」と聞いた。
亜蓮は(魂ながらも)額に汗を浮かべながら雷人の目を見つめると「ごくり」と一つ、生唾を飲み何も言わず再びレオン王子に相対した。雷人も釣られて王子の方を向くと彼は目を瞑り両手を組むと静かに──そして重々しい声でこう呟いた。
「よくぞ我々レオリオラ家に手を貸してくれると言ってくれた……勇気ある英雄達よ──だがしかし……
なるほど。
突として雷人の脳中に先ほどの疑問の答えが──
つまり──つまりは、だ。
(……つまり誰も王子のいう
「このレオリオラ王国の第一王子であり、そして──現"レオリオラ・マンカインズ"正
──のか、な……?)
「は?」
静寂。
つい今さっき女神ネイスにこの異世界へと転移してもらうと言われた時並みの──久しぶりの静寂がレオン王子を中心とした周囲に訪れた。この瞬間まで騒ぎに騒いでた民衆たちさえ──何故か押し黙り頬に汗をかく者、失笑する者、慌てた様子を見せる者など──三者三様の
女神との間に流れた静かな時間(およそ10秒間)の記録を軽々しく越えた頃──亜蓮はゆっくりと雷人の方へ向き直ると王子同様静かな声で耳打ちをしてきた。
「な、なぁ……オレさ、正直、試練だのなんだか言われた時さ……何か難しい
正直。
雷人は今まさしく──亜蓮と同じ思いを心中で共有している──そんな事は有り得ない妄想だと科学者に一蹴されてしまいそうな──という錯覚に陥った。
原因は明確。今の亜蓮に──
事実。
周りを取り囲む民衆──おそらくバスケは齧っているだろうが
だがしかし。
さすがは"神戸 雷人"か──"藍葉 亜蓮"に"終生のライバル"と称されるだけはある──今、目の前に立つドヤ顔が美しい少年の
もしかしたら。
こう見えて彼は
見た目だけで判断してはならないと言うが──自身の直感だけを信じるのであれば──雷人は
「亜蓮くん……ここは念を入れて本気で行こう……! やっぱり直感や見た目だけで"こうだ"と判断を下すのは危険だから」
雷人はそう亜蓮に耳打ちをすると亜蓮も「おう分かった」と特段雷人の判断を疑わず二つ返事で頷くと二歩三歩とレオンの前へ迫り出すと改めて──王子との
待ってましたとばかりにその宣言に対しレオンは「承知した!」と言うと「では
「じゃあ亜蓮くん……僕たちも準備しよう……!
「あぁ……任せとけ。変なクイズとかじゃなくてバスケなら──"バスケ"ならオレは
雷人は勇ましく猛る亜蓮の横顔を見ると──先ほどの自分の憂いなど所詮
(1人しか転移できない──正確には
雷人は「さてと」と一呼吸おくと亜蓮の方へ向き直り──女神ネイスが
「「
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