第2話

 1日目。2014年4月30日、6人の派遣社員が足利市の16番地にある派遣会社を襲撃し、少なくとも26人の人質を取った。事件発生を受けて、鬼庭克也おににわかつや上等兵率いる神撃隊隊員や警察局の如月邦夫きさらぎくにお警部などが招集される。東和テレビのレポーターの剣持香美らは、偶然にも事件現場に一番乗りすることになる。当局は、テロリストのリーダーである桜庭翔さくらばしょうから、足利市で収監中の91人の同士を釈放しなければ、翌日の正午に人質を殺害するとの電話を受ける。


 2日目。如月は桜庭と電話で交渉し、暴力を避けるためにどんな手段でも協力すると伝える。正午が近づき、隣の建物で待機していた神撃チームは最悪のケースを想定して派遣会社に突入する準備を始めるが、桜庭が病気を理由に人質を1人解放したため、突入は中止される。如月がテロリストたちに食料を届けた後、桜庭はバス2台を用意し派遣会社社長を伴った足利空港への安全な移動を要求する。如月の説得により、期限を48時間後にすることを受け入れる。


 3日目、そして4日目。桜庭は再び電話をかけてきて、社長たちと話すことを要求する。桜庭の右腕である須藤誠也は、自分たちの本気度を示すために人質を1人殺害しようとするが、桜庭によって止められる。ここで、派遣会社のコーディネーターに交渉に加わることを拒否したことが判明する。桜庭は如月に電話をかけ、東和テレビと話すことを要求し、如月はやむなく承諾する。その後、桜庭は不本意ながらも別の人質を解放する。一方、神撃チームは人質が空港に向かうバスに乗っている間に車内に突入し制圧する作戦を立てるが、政府は京都での新幹線爆破と同じ轍を踏むことを恐れて、この作戦の実行を認めなかった。派遣会社は協力的だったが、足利宗介首相は派遣切り問題を念頭に政府はテロリストの要求を、例えボールペンであっても一切譲らず国外逃亡も認めないと断固として主張し、国内法で対処するように厳命する。仕方なく、神撃チームは当初の作戦である建物に突入する作戦を新たに練り直すことにする。


 5日目。桜庭の要求通り、東和テレビはテロリストの声明を放送した。テロリストたちの行動の理由は、韓国における日本政府による弾圧を世間に知らしめるためだという。放送されたニュースを聞いた桜庭は如月に感謝し、2人の人質を解放した。


 6日目。バスを用意するという要求が期限までに叶わなかったため、苛立った須藤は人質を殺害する。最悪の事態を受けて、内務大臣の橘長介は東和テレビへ指揮権を委譲し、強行突入を承認する。如月は突入時にテロリストの注意をそらすために電話で交渉を進めるように指示される。


 強行突入によって、人質の1人は犠牲となったが、神撃チーム隊員には1人も犠牲が出ることなく、桜庭と他の4人のテロリストが殺害される。人質が外に連れ出される際、須藤が人質の中に隠れていることに気づいた鬼庭は、須藤が手榴弾を使う前に彼の腹を撃つ。派遣会社の外では人質が一時的に拘束され、人質の中に隠れていた最後の6人目のテロリストが発見され、逮捕される。強行突入という結果に、動揺する如月は妻に無事を知らせるために電話をかけ、神撃チームはラジオで足利首相が自分たちと警察局を絶賛するのを聞きながら、基地へと戻っていく。

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足利帝国 鷹山トシキ @1982

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