第8話
なんやかんやでカフェをやる事になったうちのクラスだが、意外とその準備が忙しい。
内装やら衣装やら、赤城を筆頭とするギャル達と出来るだけ可愛い出し物にしたい女子達が結託して、なかなか凝ったものを作る方向性で進んでおり、クラス全員がなんらかの係に任命され、総出でてんやわんややっている状況だ。特に部活や他の委員会で忙しい奴らの分の仕事をどうするかとなった時、悲しいかな、狙い打ちされるのは、帰宅部暇であろう人間達(俺含む)である。普段の俺なら、そうやって仕事を振られても適当な言い訳をして、のらりくらりとやり過ごすのが常套手段だが、今回ばかりは事情が違う。出し物の中心で指揮をとっている東野の近くでひたむきに頑張っている姿を見せれば、失った好感度も少しは取り戻せるのではないか‥‥‥という浅ましい考えの一心で、柄にもなく協力的にクラス出し物の準備に勤しんでいる。最近はそんな文化祭に追われる日々なのだが、今日は珍しく準備が休みになる事になった。
「えーと、今日の放課後は、工事業者の方々がくるので文化祭準備はお休みー、皆早く帰りなねー」
HRでそう告げる奥野先生。よっしゃ!と、心の中でガッツポーズする。最近色んな事があり過ぎたし、学校では学校でクラス会議で柄にもなく目立つ発言したり、文化祭準備の係をこなしたり、いつになくエネルギーを使っていたからな、偶には好きな飲み物とジャンクフードでも買いこんで家でぼーっとするに限る。よーーし!放課後は、ご褒美だらけまくりタイムに決定だな!
放課後になり、秒速でカバンをつかみ学校を脱出、光の速さで帰宅する。これぞ帰宅部の鏡、本来の姿。今日はもう存分に部屋でゴロゴロしよう。お気に入りのモンエナとからあげクンは最短帰宅ルート途中のコンビニで調達済みだ。こいつらを片手にYouTubeとなろう小説でも漁り、毛布にくるまりながら存分にだらけるというのが本日の俺的ゴキゲン計画だ。
ふんふん~♪と、上機嫌に鼻歌をうたいながら玄関の鍵を開ける。靴を脱ぐやいなやそのまま自分の部屋に直行、布団にダイブする。
ぽふっ、むにゅん。
「ああんっ、やんっ」
むにゅん?
毛布越しに両手に感じる柔らかな感触、小さな喘ぎ声、え?何これ?
「もうっ‥‥‥おにぃちゃんのえっち」
毛布の中からそのあどけない顔を覗かせるエリカ。
「エリカ‥‥‥何やってるんだ?」
「ふふふー!お兄ちゃんの事あっためたげようと思って、まっていたのだ」
「遠慮しときます」
「あっ!その言いぐさはひどいんだよ!せっかくお兄ちゃんを元気づける為に添い寝したげようと思ったのにぃ!」
「ワアーイウレシイナ、でも1人で大丈夫、はいお休みー」
そういって横になるとエリカがぷくーっと顔を膨らませながら、そのまま胸を押し付けるように上にのしかかってきた。
「むぅぅ~~~っ!かまってかまってかまってぇーーっ!」
密着した状態で暴れられ、動く度にエリカの立派な果実がむにゅんむにゅんと背中越しに当たってくる。対応に困るから本当勘弁してくれ‥‥‥
取りあえず適当にエリカの頭をぽんぽんとして、身体を引き剥がそうと試みる。
「はいはい、構った構った、もう離れなさいよ」
「なんか適当!!お兄ちゃん最近全然構ってくれない!!うう〜〜!もう怒ったんだよ!えいっ!これでもくらえぇーーっ!」
むにゅにゅ、むぎゅん。
今度は正面に周りこみ、太ももで俺の顔をむぎゅっと、かにばさみにするように絡みついてくる。
「ちょちょ、苦しい苦しい」
「ほらほらぁ~、もっと締め上げちゃうんだから!お兄ちゃんのこと離して上げないんだから」
「年頃の女子がしていい体勢じゃなかろうに、止めなさいよ」
「えいえいっ、最近帰りが遅くて全然構ってくれないお兄ちゃんにはお仕置きなんだよ!ふんすふんす!」
エリカの太ももを動かす度、その柔らかな感触が甘い匂いとともにキュッキュッぱふんぱふんとダイレクトに伝わってくる。
「色々あるんだよ、文化祭の準備とかさ」
「それはわかるけど‥‥‥それにしてもだよっ!こないだ帰ってきたのなんか夜の23時とかじゃん!クラスの出し物だけでそんな時間になる訳ないもん、怪しいっ!」
(この間外ので動画編集してた時か‥‥‥文化祭で忙しくて投稿全然出来てなかったから、ちょっと集中したくてカフェで編集作業してたら夢中になっちゃって、予想以上に帰りが遅くなっちゃったんだよな)
「むむむ!お兄ちゃんは私に隠しごとしちゃ駄目なんだもん!全部白状しろぉ!今すぐ!ナウ!!」
「ないない、隠しごとなんてナニモナイヨー」
「ふぅーーーーん、そういう事いうんだ?」
悪そうな顔をするエリカ。
あ、なんか嫌な予感。
「ねぇお兄ちゃん、お兄ちゃんの部屋でこんなもの見つけたんだけど、これなに?」
それは、俺がいざという時の為に買っておいたコ●ドームだった。
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