110話目

 僕の体は運ばれていく。知らない街へ。これから生きていく街へ。寂しさは置いてきた。きっと辛くなるから置いてきた。未だ残るこの胸の騒めきは、不安だと思いたかった。でもこの騒めきは募るばかりで、消える気配もなかった。本当は寂しい。この列車は、揺れる心と同じように、ガタガタと進んでいく。

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