俺が悪いのか?

「ひどい・・・・わたし、浮気なんかしてないのに。」

みるみるうちに、小夏の目に涙が溜まり始める。

やばい。

なんかすげー罪悪感。

でも!

俺、見たし!

この目で、見たし!

「じゃあ、この間の日曜、タカシとイチャついてたのは、どーゆーことだよ。」

俺の言葉に小夏は。

「え?」

不思議そうに小首を傾げた。

拍子に、溜まりに溜まった涙が、小夏の目からこぼれ落ちた。

ショックではあったけど。

小夏が俺に対して少しでも『悪かった』という気持ちさえ持ってくれていたら。

もう二度としないと言ってくれさえすれば。

別に、別れる気も怒る気も無かった。

なんせ俺は、小夏にベタ惚れだったから。

でも。

小夏の言葉に、俺は一瞬、頭が真っ白になった。

「だって、日曜日はタカシくんとデートしてたんだもん。」

ものすごく自然に。

ごくごく当たり前の事を言っているかのように。

小夏はそう言ったのだ。


えっ?

えっ、と・・・・。

これは、俺が間違っているのか?

俺が、悪いのか?


「タカシくんとデートしてる時に、タカシくんと仲良くしてただけなのに、爽太くんはなんでそんなこと言うの?」

大粒の涙を溢しながら、小夏は切々と俺に訴えかける。

「わたし、爽太くんと一緒の時は、爽太くんの事しか考えてないよ?」


ちょっと待て。

これが正解なのか?

おかしいのは、俺なのか?!

誰か教えてくれ!


「爽太くんのこと、わたし、大好きなのに・・・・。」

大好きな女に泣きながらこんなことを言われて、落ちない男がいるのなら、是非とも紹介していただきたいものだ。

「ごめん、小夏。俺が悪かった・・・・っと!」

謝ってしまった俺に、小夏は泣きながら抱きついてきた。

「良かった・・・・爽太くん、大好き。」

何も考えられなくなってしまった俺は。

小夏の柔らかな体を、そっと抱き締めたのだった。

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