350.神と女神と天使②

「神界に来るのも久しぶりだね~、あ! お爺ちゃん! お久しぶりです!」


「ほっほっほっ、クロウくんや、いらっしゃい」


「あれ? シヴァさんはいないんですか?」


「ああ、シヴァは少し用事があって暫く出掛けておるのじゃ。なに、心配しなくとも、また直ぐに会えるのじゃ」


 お爺ちゃんも元気そうで良かった!


 気のせいだろうか?


 お爺ちゃん……若くなってない?


 まあ、元気になったしるしなら良いな。


 その時、僕の後ろから歩いてくる音が聞こえた。


「おお、クロウくんや、君に紹介したい人達じゃ」


 そこにはメティスと美しい女性が二人、一緒に歩いて来た。


「もしかして……?」


「初めまして、ティアから話は耳が取れるほど聞いているわ「シスっ!」、私はシス。よろしくね」


「ふふっ、会えて光栄だ。私はラス。私の耳も何とか無事のようだ「ラスっ!」」


 慌てるメティスがまた可愛らしくて、最近ずっと幸せそうにしていた理由を知って嬉しくなった。


「そうだ。私達二人から、君へのプレゼントがあるよ」


「本当ですか!? それは嬉しいです!」


「ふふっ、是非とも期待しててくれていいよ。さあ、付いておいで」


 僕はシスさんに言われ、彼女達と共にとある建物の中に入って行った。




 ◇




「お~い、お客様だぞ!」


「は~い!」


 二階からドタバタと降りて来る音が聞こえた。


 そして、階段の上から一人の……女性…………が……………………











 僕は思わず、何も言えないまま、に抱き着いてしまった。











「あわわ! きゃ、客人! いきなり抱き着くなんて吃驚ですよ!」


 僕はその声に我に返った。


「あう……ご、ごめんなさい…………あまりにも知り合いに似ていたもので…………」


「あはは、でも残念ですね? 抱き着くなら姉上達にした方がいいですよ? なんせ、僕は男ですから! 男性に抱き着いても嬉しくないでしょう?」


 綺麗な顔立ちをしていて、優しい色の明るい赤い髪、瞳。


 僕の中にある彼と全く変わらない姿で同じ声の彼を、僕はただただ見つめる事しか出来なかった。




「彼の名は、フィア・・・、我々の弟だ」




「えっ? フィ……ア?」


 僕が驚く、シスさんを見つめた。


 シスさんの隣にいたメティスもお爺ちゃんもラスさんも優しく頷いてくれた。



 ああ……。


 やっぱり君だったのね。


 ……。


 ありがとう。


 また僕の前に来てくれて。




「あ! そうだ! 客人! 何故か分かりませんが、貴方にすっごくお勧めした商品があるんです! 是非こちらに来てください!」


 彼は僕の手を取り、二階に上っていった。


 二階に行くと、そこらじゅうに魔道具のパーツやら道具が置いてあった。


 ふふっ、相変わらず、魔道具を作るのが好きなのね。



 そして、彼は小さな台の上に乗っている四角い箱の前に連れてってくれた。


「客人! この四角い箱は凄いんですよ! 名付けて『キューブ』というんですけど!」


 はしゃいでいる彼に言われるまま、僕はその箱を食い入るように見つめた。


 綺麗な箱には、美しい模様が沢山描かれている。


 更には中から大きな力も感じ取れる。


 そして、彼は僕に取って、忘れられない言葉を放った。






「このキューブ! なんと! 『神界の想いを力として放射』出来る優れものなんです! まだ完成品ではなくて、これからも調整が必要ですけど、どうですか! 凄いでしょう! 不思議と客人が来る前に思い付いて、一個だけ作れたんですよ!」






 嬉しそうに話す彼。


 僕は君を助ける事が出来なかったのに……君は僕を助けてくれる……。


 でも、きっと、君に謝っても、怒られるだけだと思うから。


 だから――――





「ありがとう……そのキューブ……僕も一緒に作ったら……駄目かな?」


「え!? 客人、魔道具作れるんですか?」


「ううん、でも……君となら作れる気がするんだ」


 彼はきょとんとした顔になった。


「僕はクロウ。そのキューブで助けたい人がいるんだ」


「なるほど! そういう事でしたら、協力しますよ! 貴方がこのキューブを悪用するとは思えないので」


「ありがとう。それと――――これから僕の事は、クロウって呼んで欲しいけど……駄目かな?」


 驚く仕草もそっくりだった。


 そして、彼は口を開いた。






「うん。わかったよ。よろしくね――――






 クロウくん」

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