手紙

 クロウくんへ。


 今頃、君は僕を探してくれているだろうか?


 僕はクロウくんのおかげで、生き残る事が出来たよ。


 君がお守りとして付けてくれたソフィアちゃんの分体が僕を庇い、あの大爆発から僕だけが生き残れた。


 でも、直ぐにあの人に捕まってしまったよ。


 僕に『憤怒の因子』があると、空の遥か彼方にある城まで連れて来られてしまった…………。


 今の生活は、取り敢えずは何とかなっているよ。


 食事もちゃんと出るけど、小さな魔石も一緒に食べるように言われていて……生きるために頑張るね。


 きっと、君なら直ぐに僕を助けに来てくれると思うから。




 ◇




 クロウくんへ。


 僕がこの城に来てから、既に半年が経っているね。


 未だ……君の助けは来ないね。


 どうしてだろう……僕はここに生きているのに……君は……僕が死んだと思っているのかな?


 ああ、そう言えば、やっと魔石を食べなくてもいいって言われたよ。


 あの石……食べるとお腹がむかむかしてたから本当に助かった。


 でも……なんでだろう……。


 お腹が空いたよ。




 ◇




 あはははは!


 最近君の名前が思い出せないや!


 君誰だっけ?


 あはははは!


 それよりお腹が空いた。


 なんでだろう、やけに君を思い浮かばせようとするとね?



 壊したくなるんだ。




 ◇




 #&$%!&$%


 あはははは!


 何故僕はこんな手紙なんて書いているんだろうか


 まあいい、たまにはこういう静かなのも良いかも知れない。


 ああ、昨日殺した獲物から貰った傷が塞がらない。


 ほんと……イライラする。


 最近なんでもイライラする。


 誰かを待っていた気がしてるんだが、誰だっけ。


 そもそも……こんな僕を誰が待ってくれるというんだ。




 ◇




 く、クロウくん……お願い……早く……たすけ…………




 ◇




 こんな手紙を書くのも久しいな。


 いや、俺が書くのは初めてか。


 あいつは親友とかいうやつを信じ、最後まで抗ったけど、増える傷に耐えられなかった。


 だから俺様が出来た訳!


 これが親友とやらに読まれる事なんてねぇだろう。


 だってな。


 俺も……こいつも、既に化け物だからな。




 ◇




 あいつの親友は楽しく生きていたみたいだな。


 イカリの野郎……三か月も猶予をあげるとは……まだ未練でもあるのか?


 ふん。


 お前を助けにすら来なかったあいつの何処が親友なんだ。


 三か月後……お前か俺の手であいつを殺すのが楽しみだ!




 ◇




 (乱雑に書いてある)


 ――――――――来ないで。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る