303.声

 メティスから『従魔のパス』について、説明が始まった。


【まず、クロウくんが自分の従魔達とおこなっているのは、『神獣の会話』というスキルなの、ただ、そのスキルはレジェンドスキル『神獣の加護』の中に入っていて、確認する方法はないの】


 僕は一人、うんうんと頷いた。


 ヒメガミさん、ナミちゃん、ナギちゃんがポカーンと、僕を見つめている事に全く気付かなかった。


【なので、まず一つ目に、クロウくんは『従魔のパス』は行えない。もし使えたら、そこのタマモちゃんとも繋げられるはずだからね】


 僕は自分の頭に乗っていたタマモを持ち上げ、顔の前で見つめた。


 う~ん。


 確かに、全く伝わらない。


【二つ目にクロウくんが『従魔のパス』を使えない理由があるの、それは『遠話』が使えるからなの】


 えっ!?


【本来、とは『次元』と超える事は決して出来ないの。でもクロウくんは魔法の力で一度越えてしまった。超えてしまったから……クロウくんの頭の中には『声は次元を越えられる』という常識が入ってしまったの】


 ???


【言い換えれば……クロウくんは『声』が何処にでも届けられる。という事は何処にでも……つまり、『従魔にも声が届けられる』と無意識で思い込んでいるの、しかも、実際届けられているの。そのタマモちゃんは今のクロウくんの声を聞いて理解出来てしまってるからね】


 僕はタマモちゃんを再度見つめる。


 タマモちゃんも「きゅう?」とどうしたの?って聞いて来る。


 あれ?


 タマモちゃんの言いたい事が分かっちゃう。


【それがある所為で、クロウくんは『従魔のパス』、ひいては……『パス会話』を習得出来ないの】


「『パス会話』……」


 僕の言葉に、ナギちゃんがビクッと反応する。


【うん。クロウくんも勘づいたと思うんだけど……『パス会話』は従魔だけの特権ではないの。言い換えれば、『誰とでも』繋げられるの】


 そうか!


 本来遠話は発声した声でしか届けられないはず……。


 でも違う。


 発声しなくても、思った言葉を『声』にして届かせられるかも知れない。


 僕は目の前のヒメガミさんに向かい、『心の声』で話しかける。


 だって、僕には出来るはずだ。


 それは何故なのか…………。


 その多くのヒントをメティスがくれた。


 最も大きいヒント。


 それは…………以前、意識しないままお母さんに『声を出さないで遠話』を使った事がある。


 しかも、メティスとも何度も『声を出さないで、心の声を届かせる』事が出来ている。


 だから、出来るはずだ。


 ――――






【ヒメガミさん。僕の声が聞こえますか?】






【あれ? クロウくんの声が……あれ? 遠話とは少し違うみたいね?】


 届いた!!


【メティス! 届いたよ!】



 - スキル『パス会話』を獲得しました。-



 おお!


 久しぶり聞く《天の声》さんの声だ!


【ふふっ、おめでとう! クロウくん】


【ありがとう! これも全部メティスのおかげだよ!】


【ふふっ、でもこれで終わりじゃないよ?】


【ん? あ! ナギちゃん!】


 僕はナギちゃんに向かって『パス会話』を試した。


【ナギちゃん? 僕の声が聞こえるかい?】


 ナギちゃんが驚いた顔になる。


 うん。


 無事に届けられたみたい。


【ナギちゃんもそのまま返してみるといいよ!】


 僕の言葉にオドオドしながらも、『声』を発しようと頑張るナギちゃん。


【あ……う…………く……ろ……う……さ、ま?】


「うおお!! ナギちゃんの『声』が聞こえた!!」


「ええええ!? 私は聞こえなかったですよ!?」


「旦那様、もしかして、さっきの『心の声』ですか?」


「うん! ナギちゃんの『心の声』が聞こえたよ!」




【クロウくん! でもこれだけではまだ駄目だよ! もう一つ、大きな利点があるの!】




「あれ? メティスからもう一つ大事な事があるみたいなんで、ちょっとだけ待ってて!」


 僕は優しくナギちゃんの頭を撫でてあげた。


 ナギちゃんも、ナミちゃんも、ヒメガミさんも嬉しそうに笑っている。



【この『パス会話』を、クロウくんのスキル……ううん、技の『神々の楽園アヴァロン』に乗せる事が出来れば……】


 『神々の楽園アヴァロン』に『パス会話』を足す。


 もしかして、これに『遠話』も乗せられるんじゃないかな?


 僕はあれこれを考えて、ここにはいない奥さん達の事も意識しつつ、ヒメガミさんの中心に認識してみた。


 実は『神々の楽園アヴァロン』は非常に優秀で、相手とずっと繋がっている感覚がある。


 何故なら、これが無ければ、僕からいつでも『神々の楽園アヴァロン』を切る事が出来ないからだ。



 こうして、僕は色んな人の『神々の楽園アヴァロン』を認識しつつ、『パス会話』と『遠話』を同時に使ってみる。

 

 ――――そして。





 - 技『神々の楽園アヴァロン』とスキル『パス会話』が融合し、技『神々の理想郷ジ・アヴァロン』に進化しました。-





 メティス、ありがとう。


 僕は頭の中に『神々の理想郷ジ・アヴァロン』が大きく繋がり始めた。


 僕とそれぞれの人達に一本ずつ繋がっていたパスは、大きく広がり、神々の理想郷ジ・アヴァロンを持つ全ての人達と繋がる。


 そして、僕は目の前のナミちゃんとナギちゃんにも神々の理想郷ジ・アヴァロンを掛けてあげた。



【みんな! 僕の声が聞こえると思う。これからは、この『心声』でいつでも、誰とでも話せるようになったよ! 先ず最初に紹介したい人がいるから紹介するね!】


 僕はナギちゃんを見つめて、優しく頷いた。


 ナギちゃんは、恐る恐る『声』をあげた。











【は、じ、め、ま、して……な、ぎ、です……おね、がい、しま、す】


 彼女の『声』にナミちゃんとヒメガミさんが涙を浮かべ、彼女を抱きしめた。





 名前 クロウティア・エクシア

 年齢 16歳(男)

 種族 人族(神々の理想郷の加護)

 職能 アザトース

 レベル 78

 HP 700×10=7000

 MP 800×50=40000

 力 780×10=7800+30000

 素早さ 780×10=7800+30000

 器用さ 780×10=7800+30000

 耐性 780×50=39000+30000

 魔力 780×300+5000=239000+30000

 精神 780×300=234000+30000


 [従魔] 『アルティメットスライム』ソフィア,『ガーディアン』ヘレナ,『アクアドラゴン』リヴァ,『白狐・王』ギル


 [レジェンドスキル] 叡智ノ神 ,全能ノ神,異次元空間魔法,精霊眼,神獣の加護,奇跡の大地

 [魔法系統スキル] 全属性魔法,中級回復魔法,転移魔法,影封印,飛行魔法

 [スキル] 神言能力,痛覚無効,睡眠無効,言語能力,魔法超強化,多重魔法発動,魔法調整,魔法無限固定,魔力高速回復,魔力超上昇,魔法高速演算,MP消費超軽減,超手加減,自動収集,自動魔法,魔眼耐性,対魔眼封じ,パス会話

 [技] MPドレイン,神々の理想郷ジ・アヴァロン,神格化,エリクサー,ソーマ

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