295.鍵
振り出しになってしまった。
アンセルさん達が戻らないのを考えると、魔族でも自由に外に出れる訳ではないという事が分かっただけで大きな収穫だ。
アンセルさん達には申し訳ないけど、ソフィアの分体を忍ばせて貰ったけど、残念ながらソフィアの分体も中には入る事が出来なかった。
もう一度、管制塔に帰ってくると、各地のダンジョンでの戦いがまだ続いてはいたものの、現れているモンスターの数は激減していた。
もしかして、向こうも無限にモンスターを送れる訳ではないのかな?
そもそも通常モンスターを無限に送れるというのなら、モンスターを何らかの方法で作らないといけないと思う。
魔法やスキルでモンスターを大量発生させる魔法があればだけど……。
一旦、魔法だと仮定した場合、その魔法も使い続ける事は難しいはずだ。
しかも、アンセルさん達も見た感じ、魔族の誰もがそれを使えそうには見えない。
もし、使えるなら町の中にモンスターを直接大量に発生させられるだろうからね。
予想ばかりではなるけど、少しずつ、相手の状況は見えてきた。
①モンスターはずっと出て来るが、出て来る数は決まった数があるみたい。
②魔族でも直接『暗黒大陸』から出られる訳ではない。
但し、直接出られる少数の魔族もいるかも知れない。
③魔族の全員が全員、前教皇のような強さはない。
この三点が分かっているだけでも、非常に大きな収穫だね。
「クロウ!」
「セナお姉ちゃん?」
他のダンジョンの助け部隊のセナお姉ちゃんが帰って来た。
「『暗黒大陸』は入れないって?」
「うん。『不可侵の結界』が張られていて、魔族だけが自由に入れるみたい。でも外には出れないみたいだね」
「そう……、こっちもモンスターの数が落ち着いたから、少しずつ休憩に入ると思う」
「分かった。僕はもう少し悩んでみるよ」
セナお姉ちゃんがクスっと笑った。
「??」
「ねぇ、クロウ? 心配しなくても、ここは私達が守るから。クロウは焦らず、自分にしか出来ない事をやって欲しいかな!」
「……うん。分かった! ありがとう、セナお姉ちゃん」
「こほん。クロウ様、セナ様。そういうのは向こうでやりましょう」
いつの間にか現場に現れたダグラスさんだった。
「ご、ごめんなさい! すぐ出発しますから!」
僕の慌てた言葉に周りの人達はクスっと笑った。
セナお姉ちゃんも少し恥ずかしそうに、休憩に向かった。
僕は自分の執務室に移動し、次は何をするべきか考え込んだ。
「迷いが生じた頃、東に向い七つの鍵を集め、裏切りの間を開く」
…………
あれ?
これって誰の言葉だっけ?
ふと、僕が発した言葉。
何となく出た言葉なんだけど……妙にしっくりくる言葉だ。
…………
まず東というのは、恐らく東大陸だろう。
七つの鍵を集め……?
鍵? 七つ?
【クロウくん】
「うん? どうしたの? メティス」
【七つの鍵なら、もしかして
「あ~、あのボスの所で手に入った鍵だよね? 確か……今は……」
【アズライール、ガブリエル、アリエルの鍵があるわ】
「なるほど……三本ね……あれ? でも、以前ルシファーのダンジョンでは手に入らなかったよ?」
【ええ、クロウくんがさっき話した『裏切りの間』が、ルシファーのダンジョンなのではないかなと予想されるの】
「ルシファーのダンジョンが?」
【ええ、まず『鍵』という言葉に、最近特殊な鍵と手にしているのは、やはりダンジョンの鍵ね。それを七つを集めると言ったけど、ダンジョンって全部で八つあるけど、そのうち、丁度七つが『それぞれの属性がある』ことね。しかも実際には鍵を手に出来ている訳だし……、残り一つのルシファーのダンジョンだけが『特性が無い』というのが違う点だね】
メティスの分析は、とても信憑性の高いモノだと感じられた。
確かに、実際鍵を手にしているのは、ダンジョンの最奥だ。
更にアンセルさん達が、こちらに来れたのも、ダンジョンの最奥からだ。
偶々そこで『鍵』を手に入れた。
うん。
ほぼ間違いなさそうね。
「メティス、ありがとう! 残りの鍵四つを集めに行こう!」
僕はその足でソフィアの分体を忍ばせていた全てのダンジョンの最下層に『次元扉』を繋いで貰った。
『ミカエルのダンジョン』
『ラファエルのダンジョン』
『カマエルのダンジョン』
それぞれのダンジョンの最奥にいるボスモンスターを倒すと、それぞれの『鍵』を手に入れた。
これで六本の鍵を手に入れた。
そして、最後の『ウリエルのダンジョン』の鍵を目指して、『ウリエルのダンジョン』を潜る事にした。
残念ながら『ウリエルのダンジョン』は五階層からの攻略となる。
他のダンジョンと違って、アカバネ島のダンジョンなので、危険度がないと考え、ソフィアの分体を最奥に配置していなかった。
しかも、今回のスタンピードでも『ウリエルのダンジョン』からは現れていない。
僕は懐かしい『ウリエルのダンジョン』の五階層の砂漠を飛び上がり、精霊眼でマップ確認し、ボスモンスターを倒した。
それを数回繰り返し、僕は九階層に辿り着いた。
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