263.スライムランドパーク②

 何とか無事にレイラお姉さんとの観覧車も終わり、次からはアトラクションステージにある軽いアトラクションに次々乗り込んだ。


 動く箱カートと呼ばれる小さな車のようなモノに乗って、みんなでぶつかり合ったり、自転車のような乗り物で空中を散歩したりと、絶叫するようなアトラクションじゃないととても楽しめた。


 そして、最後に辿り着いたのは…………。


「ねえ、クロウ。ここはやめましょう」


「やだ」


「く、くろにぃ、ここだけはやめない?」


「やだ」


「クロウ様……私は……例えここが苦手でもクロウ様と一緒なら…………」


「うん、ちゃんと入るからね「うっ」」


「あ、あはは……私もあまり入りたくないかな?」


「いくよ、みんなで」


 ふふふっ!


 ここまで散々僕を虐めてくれた奥さん達に仕返しだ!


 まさかこういうモノ・・が苦手なのか知らなかったけど、ここなら僕は平気だ。



 それから僕は奥さん達一人一人と一緒にそのアトラクション――――『お化け屋敷』を満喫した。




 ◇




 レイラお姉さんを除き、奥さん達は『お化け屋敷』が余程怖かったようで、震えながら叫びまくっていた。


 あんな可愛い丸々とした幽霊とか、前髪が長い幽霊さんとか、何処が怖いのだろう?


 叫ぶ度に僕に寄り掛かる奥さん達がとても微笑ましい。


 最後にレイラお姉さんとも一緒に入ったけど、僕と一緒にずっと楽しそうに笑っていた。




 恨みがこもった目でこちらを見ている奥さん達を連れ、今度はアトラクションステージから自然ステージに移動した。


 丁度境の所には飲食処があって、ひと休憩となった。


「このアイスクリームというの凄く美味しいわ」


「ほんと! 甘くて冷たくて美味しいわね」


 スライムランドパーク特製アイスクリームを食べた。


 アルテナ世界にはアイスクリームがなかったので、みんな新鮮なようだ。


 僕もアイスクリームは大好きだったので二つも食べてしまった。


「もう、お兄ちゃん、ほっぺにクリームついてるよ」


 リサが僕のほっぺについていたクリームを拭いてくれた。



 食事処でゆっくりした僕達は自然ステージに移動した。


 移動する際、朝分かれたグループとすれ違いになった。


 ライお兄ちゃん夫婦と、デイお兄ちゃん夫婦がとても楽しそうだった。


 そういえば、今日はサリアお姉さんの姿が見えないね?



 自然ステージは自然に溢れ――――ていると思っていたけど、そんな場所じゃなかった。


 何でアトラクションがあるの!?


 よく見ると、水の上を移動する船のアトラクションとか、滝から落ちるアトラクションとかもあった。


 流石にアトラクションステージよりは優しそうだ。



 僕達は一通り自然ステージのアトラクションを満喫した。


 僕としては船に乗って川を流れる船型アトラクションが好きかな?


 セナお姉ちゃんは案の定、滝から落下して水しぶきを上げるアトラクションが好きみたい。


 途中、お父さんお母さんグループにも会って、一緒にアトラクションに乗ったりと楽しんだ。



 そして、最後の広場ステージに向かう事にした。


 さっき行って来たアトラクションステージと、ここ自然ステージと、広場ステージをぐるぐると回る大型動く箱バスに乗り、僕達は広場ステージに着いた。




 ◇




 広場ステージは一言で言うと――――お城がある街だった。


 しかもものすごく大きいお城!


 グランセイル王国のお城とかアーライム帝国にあるお城とはまた違う雰囲気のお城だった。


 城壁がないからかな? 身近に感じれる。


 真っ先にお城に入ってみた。


 お城は誰でも入れて、内部の部屋は個室はなく、広い宴会場だったり、食堂だったり、色々あった。


 それぞれの部屋はイベントで使ったり、貸したりするらしい。


 更に奥まで進むと――――玉座があった。


 作りが普通の玉座とは違って、とても華やかで豪華な作りになっていた。


 玉座には誰でも座れるらしく、セナお姉ちゃんに引っ張られ、玉座に座った。


 玉座は二人が座れるくらい大きいので、セナお姉ちゃんと並んで座れた。


 それから交代で奥さん達と座った。


「王様ってこういう眺めなのね」


「多分そうなのかな? 意外と高台から見下ろしてるけど、転げ落ちたら怪我しそうだね」


「あはは、クロウくんはそういう所を想像するのね」


 クスクス笑うナターシャお姉ちゃんより先に立ちあがり、「お姫様、お手をどうぞ」と言って右手を差し出した。


 ふふっと笑ってナターシャお姉ちゃんの左手が僕の右手と重なり、一段一段と階段をゆっくり降りた。


「本当にお姫様になった気分!」


「本物のお姫様よりお姫様らしいですよ、ナターシャさん」


 レイラお姉さんがクスクスと笑って答えた。


 そう言えばレイラお姉さんって本物のお姫様だった。


 お城ではこんな気分なんだろうか?




 それから広場にある建物を見て回ったり、演目を眺めたりと僕達は楽しい一日を過ごした。

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