236.指輪

 僕に未来の奥さんaが四人も出来てしまった。


 一切後悔はしていないんだけどね。


 リサを除いた三人には申し訳ないというか…………。


 昔からずっと僕の事が好きだった事が発覚した。


 ええええ!?


 僕だけが気づかなかった!?


 皆、それぞれ気づいていた!?


 ……ご、ごめんなさい。


 僕なんかを好きになってくれる人がいるとは、思いもしなかったから……。




 ◇




 婚約が決まった日の事。


 ソフィアが何やらナターシャお姉ちゃんと打ち合わせしていた。


 そこに、リサやセナお姉ちゃん、ディアナも参加して何かをしている。


 どうしたんだろう?



 それから数時間後。


 皆が帰って来た。


【ご主人様!】


 嬉しそうな気持ちが僕にまで伝わるくらいに、ご機嫌なソフィアだった。


「ソフィア、どうしたの?」


【ご主人様に渡したい物があるの!】


「そっか! それはとても楽しみ!」


 ソフィアは、僕の前に変な丸い物をつ出してくれた。


 この丸い物って――――まさか!?


【えへへ! 皆と相談して作ったの!】




 そこにあったのは――――『結婚指輪』だった。




 しかも、僕が今まで見た事もない形の指輪だった。


 まず、注目する所は、指輪に散りばめられている『ダイヤモンド』の量だった。


 最早、『ダイヤモンドリング』と言うべきか。


 本来なら指輪の輪になる金属部分があって、一番上に大きい宝石が付いてたりするのが、僕の知っている宝石指輪の形だ。


 しかし、この指輪。


 その宝石部分がない。


 その代わりに、指輪の輪に部分が、全て・・『ダイヤモンド』になっていた。


 それも、非常に繊細な付け方で、輪の部分になっているはずの金属部分が一切見えない。


 外から見ると、本当にダイヤモンドを丸く切った指輪に見えるのだった。



 この指輪。


 それだけではなかった。


 大きな特徴というか、力というか……が二つもあった。



 まず一つ目は、指輪のサイズだった。


 実はこの指輪の輪の金属部分は『魔装飾品』で出来ているそうだ。


 しかも、アカバネ大商会以来、最高傑作として作られた輪だという事だ。


 最近、『魔道具』の作りに、凄まじい実力を発揮しているのがマリエルさんだ。


 彼女が密かに、僕の為に作ってくれていた品だそうだ。


 念の為、婚姻者が多くなるかも知れないから複数個作っていたらしくて、そのおかげで輪の部分を簡単に作る事が出来たそうだ。



 二つ目は、ダイヤの部分だ。


 まず、輪の部分の『魔装飾品』部分が、着用者の指によって伸び縮みする。


 しかし、その伸び縮みで付けたダイヤがズレる事が予想出来た。


 それを防ぐ為に使われたのが、僕が以前、十歳の誕生日で貰ったダイヤモンドの原石だった。


 アカバネ商会時代の従業員全員で、お金を貯めて買ってくれていた原石だ。



 実はその原石、僕も知らなかったけど、ソフィアがずっと胃袋に入れていたそうだ。


 その理由は、原石をソフィアの胃袋にずっと入れて置く事で、ソフィアとの繋がりが生まれるそうだ。


 あの原石を貰った時、僕が冗談半分で、「いつか、もし、僕なんかでも好きになってくれて、お嫁さんになってくれる人がいたら……いないと思うけど、この原石を使って指輪を作ってあげたいな」と話していた。


 それを聞いたソフィアは、その原石を自分と繋がりを持たせる事で、更に自由に加工出来るようにしようと考えての事だったそうだ。



 ソフィアは、今まで多くの衣装類や宝石類の『複製』をおこなってくれている。


 更には、マリエルさんやナターシャお姉ちゃんの依頼で、多くの物を一緒に作りあげた。


 その甲斐あって、今ではソフィア自身が、自分の思い想いのまま、宝石を変形させる事が出来ていた。


 時間がある時は、ずっとその練習をしていたようで、僕の『結婚指輪』はソフィアが作ると決心していてくれたみたいだ。


 うちのソフィア、世界一可愛い!



 そうやって出来たのが、僕の前に出された指輪だ。


 数は全部でつ。


 ダイヤモンドの原石を全て使って、この数になったそうだ。


 一つは僕のたとして……七つって……。


 ソフィア、僕に七人も奥さんを作れという事かな?


 え? もしかしたら、七つでも足りないかも知れない!?


 い、いや……そんな事は……ないと……思うけど、中々堂々と言いにくくなったね……。


 何しろ、数日で奥さんが四人になってしまったからね……。




 えっと、流石にこれ以上思い付く人はいないから、これ以上、奥さんが増える事はないと思う!




 そんな僕に、ダグラスさんから遠話が届いた。


 えっ……と……。


 僕に会いたい人がいるそうで、人質になる人?


 人質って、何のための人質?


 しかも、どうして僕に?


 え?


 僕に会いたい?






 えっと……僕の奥さん達~、皇女様って誰か知ってる?

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