140.三階層と発案先手
ウリエルのダンジョン、二階のボスモンスターを倒し、僕達四人は三階に来れるようになった。
三階は、木がポツンポツンとある森だった。
木も少ないので割と遠くまで見えるくらいの森で、広く見渡す事が出来た。
三階のモンスターは四足歩行の犬型ゴーレムだった。
そして木の上には猿型ゴーレムもいた。
見渡す感じだとこの二種だった。
どちらも素早く、二階のボスモンスターよりも遥かに速かった。
今回はセレナお姉ちゃんの先頭で進んだ。
ディアナと僕が反対したけど、守られる程弱くないと怒られた。
そして最初は四足歩行の犬型ゴーレムだった。
セレナお姉ちゃんが剣を構え、一瞬光り、気づいたら既に向こうに消えていて、犬型ゴーレムが真っ二つになっていた。
え!? お姉ちゃん……こんなに強すぎるの!?
「あ~ディアナちゃんが言っていた事が分かったわ」
「ん? 言ってた事って?」
「一%に手加減してた話よ」
あ……今のちょっと本気で斬ってみたのね。
「十%くらいでこれだもの」
ええええ!?
「ええええ!?」
心の声が漏れた。
「何よ?」
ちょっと拗ねたお姉ちゃんが問いかけてきた。
「い、いや……あんなに速かったのにまだ十%くらいなの?」
「え? そうだよ? クロウってば、あれくらい大した事ないでしょうに」
え? 僕あんなに速く動けないよ!?
これからセレナお姉ちゃんに逆らわないようにしよう……。
次は猿型ゴーレムに仕掛けた。
お姉ちゃんが鞘から剣を握り、じっと構えた。
そして剣を抜きながら「剣技! 飛翔斬」と呟いた。
ほんの一瞬で向こうの猿型ゴーレムが消えた。
あ……れ?
いつ斬ったの?
完全に見えなかったよ!?
もしかして、これがお姉ちゃんの全力の速さか!?
「え? 全力で飛んだかって? あはは~クロウってば、何言ってるの、剣技の一つよ、剣に魔力を込めて飛ばしただけだよ」
え……っと、剣に魔力って込めれたのね、知らなかった。
気づけばセレナお姉ちゃんも物凄く強くなっている。
これは……ますます逆らえない……。
それから数十匹を倒しつつ、ボスモンスターの場所を探した。
森と言うだけあって、全域を見回る事は出来なかった。
精霊眼を使ってもいいけど、それだと探索って雰囲気が出ないし……。
取り敢えず森を進んでいると、少し広がった場所に出た。
そして、その向こうに次階の階段があり、手前にはボスモンスターがいた。
大きな狼の形をしたゴーレムと赤い色をした犬型ゴーレムが十匹一緒にいた。
今回はパーティー戦かな?
「よし、今回は一緒に戦おう」
「分かった」「はいっ」「うん!」
そして僕達はセレナお姉ちゃんの合図で一斉に飛び掛かった。
最初リサとディアナがそれぞれの武器で手前の赤犬型ゴーレムを殴った。
そして僕が『闇の手』で赤犬型ゴーレム半数を沈めた。
最後はセレナお姉ちゃん。
「剣技!青龍型神速剣」
と静かに呟くと、剣を構えたお姉ちゃんの身体周りに青い龍の模様が浮かんだ。
そして一瞬でボスモンスターを通り抜ける。
抜け際に見えない太刀筋はまさに神速。
ボスモンスターと残り赤犬型ゴーレム達は自分がいつ斬られたかも分からず消えていった。
ええええ!?
お姉ちゃん滅茶苦茶怖いんだけど!
今の剣技は何!?
いつの間にこんなの使えるようになったの!?
斬る動作一回しか見えなかったのに、ボスモンスターとその他のゴーレム全部斬られてたんだけど!?
本気で逆らわないようにします……。
今回は全員で戦いに参加出来たとの事もあり、全員四階へと進めた。
四階は三階よりも深い森だった。
木々も多くて先があまり見えない。
ひとまず、ここまでにして一度島へ戻った。
帰って来た所に、丁度ダグラスさんが待っていてくれた。
「オーナー、一つお願いがございます」と言われたので、ダグラスさんに言われるまま、二階にやってきた。
そして、入り口から一番遠い橋の真ん中に連れられて向かった。
「では、こちらの橋に家を作ってください。一階建てで広さはこの橋の半分くらいで」
言われるがまま、土属性魔法で家を作った。
いつもだと家は職人さんが作ってくれてとてもカッコいいんだけど、僕の魔法で作るとただの石の家だから不格好だ。
「ありがとうございます。それでは今度はこちらにエドイルラ支店と直通の『次元扉』を作ってください」
そう言われたので、橋に次元扉を作ると、今度はエドイルラ支店にやってきて同じ扉を言われた場所に作った。
そしてお互いのみ直通出来るようにした。
再度ウリエルのダンジョン二階に戻り、
「今度はこちらの橋から向こう側に、脱出出来ないように橋の部分を無くしてください」
「脱出出来ないように?」
「はい、これからこちらには多くのお客様がいらっしゃる予定です」
「ええええ!?」
「いらしたお客様が橋の向こう側に出られたら困りますので、出来れば橋の形は残したままに両側を無くしてくださると良いと思います」
いつの間にか商売の話になっていた……。
それならと今ある場所の真下に柱を作って、ここに来れる橋の部分を全部無くした
これで川の真ん中に浮かんでいる元橋の塔になった。
「おおお! 流石はオーナーです! これなら向こう側に行く事も出来ず、向こうからモンスターが来る心配もありません! ありがとうございます!」
ダグラスさんが感動している。
でもその前に……。
「ダグラスさん……まず説明を――」
「ああ、そうでしたね。実は昨日、橋飛び降り遊びを堪能したフローラ様から大衆向けに作れば
商売になるの速すぎる。
昨日の今日なのにね。
僕は優秀な仲間が沢山いて幸せだよ、でも相談くらいは――。
「フローラ様から、先に作らないとオーナーは、自重出来ないので、先手を打った方が良いと言われましたので」
僕、そんなに自重出来てないの!?!?
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