139.飛び降り遊び
ヘレナとウリエルのダンジョンの真実を予想出来た。
しかし……。
こういうのって、どちらかと言えばメティスが教えてくれるんじゃないの?
メティスさんって叡ち――――。
次の日、今度はリサがウリエルのダンジョン二階のボスモンスターを倒した。
今日渡したリサ用武器で。
魔法の杖で。
一撃で。
殴って。
それからまた橋飛び降り遊びをしていた。
余程楽しいのだろうか……。
そして、僕はダグラスさんの所にやってきた。
「オーナー、何だか疲れてませんか?」
ええ……最近お姉ちゃん達が……。
「ああ……何となく分かります……」
あれ? ダグラスさんも?
「はい……恥ずかしい話、アヤノから毎日遠話が……はぁ」
ああ……毎日遠話……。
「最初は嬉しかったんですが……そろそろ……はぁ」
ダグラスさん……疲れが顔に……。
そんなダグラスさんにウリエルのダンジョンの事を全部話した。
「まさか……動かないカカシのようなゴーレムを倒してそんなに簡単にレベルを上げられるなんて……」
「はい、しかし
「ええ、オーナーから言われた時、カカシが思い浮かびましたから」
「では一階層のゴーレムは『カカシ』と名付けましょう」
ちょっと安直過ぎるかな?
でも確かにカカシだしな。
「これから全従業員には、一日分の仕事をこの『カカシ』を倒してレベルを上げて貰いましょう、レベルは六十まで上がるけど、日数はとてもかかると思いますのでお願いしますね」
「かしこまりました、それなら従業員達も喜ぶと思います、レベルはそう簡単には上げられませんから」
僕自身は魔法で、セレナお姉ちゃんやディアナはそもそも高職能があるため、狩りが簡単だった。
でも世界の九割は通常の『ノービス』だ。
ノービスはステータスも低く、戦闘用スキルも覚えない。
そんな彼らにレベル上げというと、強い装備を揃えるしかない。
しかし、一部の力ある者に権力を握られているこの世界で、普通の平民達にそう簡単に強い装備を揃えるお金等無かった。
だから『ノービス』達にも簡単で、しかも早くレベルが上がるのは、この世界では画期的なモノだと言う。
かく言うダグラスさんも特殊職能だが、戦闘ステータスが低いのでレベルは全然上げられないという。
数年もすると、アカバネ商会の店員達全員レベル六十も夢ではないと思う。
レベル六十って……世界でも有数の上位レベルらしいんだよね……大丈夫だろうか?
そんな事をダグラスさんに話したら、「え!? オーナーが今更自重ですか!?」と言われた。
えー!? 僕そんなに自重してない?
そんなつもりなかったんだけどな……。
「二つ目の川魚ですが、海の漁隊を半分程こちらに回します」
「え? それ大丈夫ですか?」
「はい、そもそも今取れる量でも魚は十分取れます、それを半分川魚にすれば魚の種類も増え、寧ろ良いかと思います」
「分かりました、そちらはダグラスさんに全てお任せします、もし川に落ちても跳ね返されて橋に飛ばされるので安全だと思います」
「そう言えば、先程話してましたね……セレナ様方は橋から飛び降り遊びと……?」
「ええー、楽しそうに飛び降りては跳ね返される遊びをしています」
「飛び降りて跳ね返されて遊ぶ……楽しそうに……ふむふむ」
ダグラスさんの顔が段々悪い顔付きになっていた。
「オーナー、そこに連れていって頂いても?」
「いいですよ~」
向こうへの扉を作り、ダグラスさんと向こうへ行った。
相変わらず、お姉ちゃん達は飛んでいた。
あれってそんなに楽しいのか?
僕とダグラスさんが来たので、お姉ちゃん達もこちらに来た。
「セレナ様、オーナーから聞いたのですが、それは楽しいので?」
「ええ! とても楽しいわ! 何だか色々スッキリするからやってみると分かるわよ!」
セレナお姉ちゃんに勧められ、ダグラスさんも恐る恐る橋から飛び降りた。
そして飛び上がったダグラスさんは驚き、再度数回飛んだ。
物凄い笑顔で、「これは
うん、これからもアヤノさんとうまくいくといいな。
次の日。
セレナお姉ちゃんの分のボスモンスターを倒して、今度はうちの女性組が集まった。
丁度、任務帰りの『スレイヤ』の皆さんも来ていた。
セレナお姉ちゃんからの熱弁もあり、みんな飛ぶために集まっていた。
面白そうとお父さんとディゼルさんも来ている。
ちゃんと皆さんズボンで来ている。
セレナお姉ちゃん、ディアナ、リサが順に飛び降り見本を見せた。
最初は恐れながらも、お母さん、セシリアさん、ヘレネさんと飛び降りた。
叫びながら上がって来た三人は……凄い笑顔だった。
そして何回か飛び降りて、他の皆さんも飛び降りた。
美男美女達が飛び降りて跳ね返され上がって来てを繰り返している。
何だか……僕にとっては、この世の終わりのような絵図だった。
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