第29話 稽古の成果

 お姉ちゃんと稽古を始めてから数週間が経った。


 稽古のおかげで『闇の手』をより精度よく使えるようになった。


 以前サディスさんが言っていた戦いはスキルや能力だけじゃなく、経験も大事なのですと言っていたのがよくわかる。


 闇の手は全部で十本使えて、魔法なだけあって僕の魔力の強さでその強度が決まるようで、補助魔法を思いっきり掛けた上級剣士のお父さんでも斬る事は出来なかった。


 それが十本。


 闇の手を試したいとお父さんにお願いして、稽古して貰った後、お父さんが真っ白に燃え尽きていた。




 闇の手を研究した結果、


 ①一本の強さは『剣聖』と戦える程の速さで動かせる。


 ②強度は僕の魔力値次第で、お父さんから恐らく斬れる人は王国内にはいないだろうという。


 ③明確な弱点があり、それは光属性魔法。どんなに弱い光属性魔法であっても一瞬で消える。


 ④伸びる最大距離は50メートルで遮蔽物も越えられる。


 ⑤特殊効果で接触時付着可能で、付着した際は相手が遠ざかっても伸びる限界がなくどこまでも伸びた。

付着は相手より僕の総ステータスが高ければ可能だ。


 ⑥異次元空間魔法と連携しているので、付着させた物は異次元空間に入れる事が出来る。


 ⑦異次元空間に生き物は入れられないが、闇の手を付着させた生き物は『影封印』状態にさせることが出来る。

 『影封印』を持つ者は異次元空間に入れる事が出来て、入れた後に生き物の体感時間を自由に決められる。


 ⑧『影封印』状態にするには常に闇の手を一本付着させておく必要がある。


 ⑨時間は停止状態から最大100倍速くする事が出来る。

 十日間最大速度で『影封印』することで、相手は3年くらい暗闇の中にいることになる。


 ⑩『影封印』状態にされ、異次元空間に入れた生き物は全ステータスが1となり、全てスキルが使用不可となる。

 自ら命を絶つ事も不可能となる。



 試しに森に行き、狼型のモンスターと鳥型モンスターを一匹ずつ捕まえて色々試した。


 封印中は餓死もしないみたいだけど、空腹を常に感じ続けるみたいで100倍にして約一か月分を試したら、モンスター達は精神崩壊していた。それでも死なないのはある意味凄い。


 それと実はこの実験をしたのにはもう一つ試したい事があったからだ。


 それはレジェンドスキル『神獣の加護』だ。


 僕からは使えないので、モンスターから心を通わせてくれないと使えないスキルだ。



 その結果は、見事に失敗だった。


 モンスターが餓死状態になって、衰退していても心を通わせる事はなかった。


 もっと違う要因が必要なのだろうね。




「クロウ! 闇の手稽古お願い!」


 今日もお姉ちゃんから闇の手を希望された。もちろん断れない。


 スキル『超手加減』で威力を0に設定し、念のため、お姉ちゃんに最大バリアを掛ける。


 そして闇の手十本を全力でお姉ちゃんと打ち合いする。


 これが最近のお姉ちゃんとの稽古のやり方だ。


 闇の手は全力でブンブン回しているので、その速さから凄まじい音がするが威力は0なので、お姉ちゃんに当たっても全くダメージにはならない。


 ただ、的にこれでいいのだろうかと思う事はあるけどね。


 ちなみにお父さんとお母さんとお兄ちゃん達は顔が真っ青になっていたりする。



「あぁ~今日も闇の手一本も斬れなかったよ~」


 そう嘆くお姉ちゃん、今日も元気に僕の闇の手と稽古するのであった。




 ◇




 お姉ちゃんとの闇の手稽古も二か月間に渡ったが、二か月程して、お姉ちゃんから別の稽古をするとの事で、お姉ちゃんとの時間が終わった。


 来月にはダグラスさんが帰って来る。


 ちなみにダグラスさんに預けている『次元袋』から時々居場所を確認しているけど、港街セベジアから西の方に大きく移動している。


 恐らく西のテルカイザ共和国へ行ったのではないだろうか。


 しばらくやる事もなくなったので、またレベルを上げてみようと思う。


 『転移魔法』で、ルシファーのダンジョンの近くに転移し、パーティー『スレイヤ』を探した。



 『スレイヤ』さん達が泊ってる宿屋に行き、お姉さん達の事を聞いたが、どうやらお姉さん達は依頼でしばらくダンジョンから離れる事になったそうだ。


 その際、宿屋の主人から、もし僕が来たらいつでも部屋を使って良いと言われているから好きに使っても良いと言われた。


 本当に『スレイヤ』のみなさんは優しい。




 そこからまた『転移魔法』でルシファーのダンジョン8層にやってきた。


 そういえば、ミリヤお姉さんはダンジョン各階に着くと必ずスキル『感知』を使用していた。


 あのスキルがあれば周辺のモンスターや人の気配が分かるようで、便利だなと思っていた。


 僕は持っていないので、広範囲魔法で他人を巻き込む可能性があるから危ないしな……。


 先日までのお姉ちゃんとの稽古で、お姉ちゃんの動きの気配を読んでいると、何となく気配が感じれたから、それと同じ感覚で回りの気配がないか試してみる。



 - スキル『感知』を獲得しました。-



  おお! 獲得出来たら良いな~くらいに思ったけど、獲得出来た!



 - スキル『感知』がレジェンドスキル『精霊眼』に統合されました。レジェンドスキル『精霊眼』に周辺広範囲感知能力が追加されました。-



 あっ………………まだスキル『感知』を一度も使えてないのに…………僕もあの「スキル発動!」って言って見たかったな…………。




 パワーアップした『精霊眼』を使用してみた。


 視界とは別に周辺の地図のようなものが頭の中に描かれ、そこに周辺の生物の気配が読み取れるようになった。


 範囲は8層全域が読み取れる。


 8層に僕以外の人はいないようなので、いつものように広範囲魔法を撃つ事にした。


 そういえば、以前ミリヤお姉さんが、モンスターを倒したのはいいが魔石を拾いに行けないとぼやいてたのを覚えてる。


 港街セベジアでも魔石を扱っている店がいたから資金になるかも知れない。


 後で、魔石を拾いに行かなければいけないな。



 - レジェンドスキル『異次元空間魔法』により、スキル『自動収集』を獲得しました。-



 あっ…………また便利そうなスキルを獲得した。



 『自動収集』

 倒したモンスターのドロップ品を自動的に異次元空間に収集出来る。

 異次元空間の自動収集用のスペースを登録しておく必要あり。



 さっそく異次元空間に『戦利品』のスペースを作成し、スキル『自動収集』を登録する。


 では試しに、氷属性広範囲魔法を撃ってみた。


 シュババババババババー!


 火山がまた氷山になったよ。


 氷属性魔法に巻き込まれたモンスター達は全滅したみたい。


 異次元空間の『戦利品』スペースを覗いたら、たくさんの魔石が収納されていた。








 名前 クロウティア・エクシア

 年齢 5歳

 性別 男

 種族 人族

 職能 アザトース

 レベル 40

 HP 520/520

 MP 45000/45000

 力 400×10=4000

 速 400×10=4000

 器用さ 400×10=4000

 耐 400×50=20000

 魔力 400×300=120000+5000

 精神 400×300=120000


 『レジェンドスキル』

  #&$% 、#!$&、異次元空間魔法、精霊眼、神獣の加護


 『魔法系統スキル』

  中級回復魔法、火属性魔法、水属性魔法、風属性魔法、土属性魔法、氷属性魔法、雷属性魔法、霧属性魔法、木属性魔法、光属性魔法、闇属性魔法、転移魔法


 『スキル』

 言語能力、睡眠無効、痛覚無効、多重魔法発動、魔力超上昇、魔法無限調整、魔力高速回復、魔力超強化、魔法高速演算、MP消費超軽減、影封印、超手加減、自動収集


 『技』

 MPドレイン、神々の楽園アヴァロン、エリクサー、ソーマ

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