第110話 古より蘇る大地の化身 その拾弐
「万が一にも死なないだと?」
『あぁ、私は無敵だ。現在進行形で魔法は効いておらぬぞ』
チッ、確かにその通りだ。
だが、生命体である以上何かしらゴッシブルを倒す方法はあるはずだ。
「纏うは闇、
ダーグが果敢にも近接武器にてゴッシブルに立ち向かう。
だが、ゴッシブルはその巨体には似合わない速度にてその一撃を躱し、反撃の拳を振りかざす。
(まずい、あの姿勢から避けるのは厳しそうだ)
「15連アクアバースト」
振り下ろした腕にアクアバーストを撃ち込み、威力を減衰させダーグが避ける時間を作る。
無事ダーグはその攻撃を避けて、体制を立て直す。
しかし、魔法でのダメージは無いが衝撃は受けるようだな。
魔法の威力が足りないかと思ったが、フェルとジェンドマザーの魔法でも特に食らってる様子はない。
「零主還藤、行くか」
このままではジリ貧になってこっちの魔力が先に尽きる。
ゴッシブルの速度は確かに早いが、
「
零主還藤を構え、ゴッシブルに向かって突進する。
まずは機動力を削ぎ落とす為に…。
「足だッ!」
全力の薙ぎ払いで、斬撃が勢いよく飛び出しゴッシブルの足首を完全に捉える。
「…ん?」
今、ゴッシブルが避けるような動作をした…?
俺の斬撃が足首に狙いを定め飛び出し、命中する直前にゴッシブルは確かに一瞬避けようとした。
だが、ちゃんと命中してゴッシブルにはダメージはない。
「纏うは炎、
ダーグは再び飛び出して炎を纏った剣1本でゴッシブルに立ち向かう。
だが、ゴッシブルはその攻撃の全てを避け、初めて後退した。
ダーグの攻撃は避けている…のか?
フェルやジェンドマザーの魔法は避けずに食らっている。これは魔法が自身に効かないからだ。
俺の斬撃も避けようとはしたが、食らってダメージはない。
だが、ダーグの攻撃だけはしっかりと避けて、今は後退までした。
もしかして…。
俺は零主還藤に炎を纏わせる。
そして、その炎の零主還藤を全力で薙ぎ払った。
零主還藤から飛び出した炎の斬撃はゴッシブルを捉え、一直線に向かっていく。
ゴッシブルはその斬撃の速さに追いつけなかったのか、しっかりと足に斬撃を受ける。
「焼け焦げた…!」
つまり、ゴッシブルは斬撃、魔法共に何故か効かないが、魔法と斬撃両方の攻撃は食らう訳か。
『はははは、だからどうした!私は依然無敵だッ!!!』
急に笑いだしたゴッシブルは思いっきり地面を殴りつけ、砂埃を辺りに撒き散らせる。
あんな巨体しててやることは目眩しかよ…!
「ストーム!」
巨大な嵐が発生して、砂埃を全て散らせる。
だが、そこにはゴッシブルの姿は無かった。
「いない!?」
どこ行った?気配隠蔽を使っているのか…?
気配が無い…。
あの巨体がどこに…?
『まずはお前からだ』
その声と共に地面から巨大な腕が生えてくる。
「地面に潜っていたかッ!」
「
地面に向かって今出せる最大の一撃を地面に向かって放つ。
『………』
跳躍して、後退しつつ様子を伺う。
相手は八源厄災だ、油断すると一瞬で負ける。
辺りを見渡してもあの巨体は見つからない。
つまり、まだ地面に潜っているのか。
『お前は最後にじっくりと嬲り殺してやる。まずはお前の仲間を一人一人殺していく』
その声と共に再び地面から腕が飛び出してくる。
今度はジェンドマザーの近くに生えたその腕はジェンドマザーをガッシリと掴むと、地面に引き込んだ。
―――
「君って意外と情熱的だねぇ。こんな密室に女の子を無理やり連れ込むなんてさ」
今なお地面の奥底に潜っていくゴッシブルを目の前にして、余裕といった様子で話しかけるジェンドマザー。
『ははは、目の前の死に対して頭がおかしくなったか』
地面の奥底に来たゴッシブルはその腕の中で巫山戯た様子のジェンドマザーの握る力を徐々に強くしていく。
『彼奴の仲間だ、お前もじっくりと嬲り殺してやる』
「嬲り殺す?いいよ!やってみなよ!」
この状況にもなって未だに巫山戯て挑発してくる人間にゴッシブルは不信感を抱きつつも、力強く握り潰した。
『ははは、所詮人間だな。何故あれだけ挑発してくるのか謎だが…。もはやこいつは時間稼ぎか?』
「あーぁ、体がちぎれちゃった」
演技とわかるようにわざと巫山戯た様子で残念がるジェンドマザー。
『な、なぜ生きてる?』
「あは、まだ気づかないのか」
ジェンドマザーのちぎれた体がモコモコと動き出して本体とくっついていく。
その体は更に大きくなっていき、次第に巨大なスライムとなって現れた。
その体はゴッシブルを優に超す超巨大な青色の厄災。
「そ、の姿は…」
「うふ、そうだよ。さぁ、地上に戻ろうねッ!!!」
超巨大なその体から触手を生やし、マッシブルを完全に拘束して思いっきり上に蹴飛ばす。
硬い岩盤さえも貫いて、勢いよくぶっ飛ぶ。
ゴッシブルはその勢いが衰えることなく、地面を突き破り、地上に飛び出してきた。
『くっ、なぜここに大海の化身がいるのだっ!』
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