第66話 繋がり
「よし!出来た!!」
今しがた完成したのが、「
この魔法は俺と繋がりがある者の魔力を感知して大体の居場所を示してくれる魔法だ。
だが、当然制限があり、相手の魔力を把握していなきゃ行けないので、街中ですれ違った人を探すとかは出来ない。
仕組みは簡単で、
「
アルトルの魔力を感じる。
これは、地下…か?王国に地下なんてあったのか。
「今行くから待っとけよ、アルトル」
俺は、身体強化の魔法を行使して部屋を飛び出した。
「って、先生は何してるんだよ」
外にある剣の訓練場の横を通ったら、フェルが何かやってるのが見えた。
無視しても良かったが、フェルがいるだけで安心感が違うので、取り敢えず話しかけて連れていくことにする。
「お、ノアじゃないか。我は今殺されそうになっておったのじゃ」
そう話すフェルの目の前には腕が切断された金髪の男と、顔がヤバめに歪んでる黒髪の男と、筋骨隆々の女装した男が一緒くたに縄で縛られていて、全然殺されそうになっておったようには見えない。
「ふーん、まぁいいや。先生も一緒に来てくれ。アルトルが変な男に連れ去られたんだ」
「ほ?まじか。ならば急がねばならないが…、こいつらはどうする?」
どうするって言われても…。
ギルドに差し出した方がいい気がするが、今はそんなことやってる暇はない。
取り敢えずは…。
「俺たちが戻ってくるまで寮に隠しておこう。他の人に見つかっても厄介だ」
「そうじゃな。待っとれ、一瞬で戻ってくる」
縄でまとめられた成人男性3人を高校生くらいの女の子が持ち上げる様子は何ともおかしな光景で面白かった。
数分後、フェルは帰ってきたので、俺が得ている情報をフェルに言い渡す。
「アルトルは茶髪の男と3人組の男に連れ去られた。それでアルトルの居場所を探ったら地下にいることがわかった」
「ほう?地下があるのか。そりゃなんとも厄介な」
「それで、いちいち地下の入口を探していたら時間がかかってしょうがない。だから、アルトルがいる真上で地面を貫いて地下に行こうと思う。それで先生の力が必要だ。確か、いつかのエリーゼの森で修復魔法があるとか言ってたよな。それを使ってくれ」
「了解じゃ。なら助けに行くか」
俺は再び身体強化の魔法を行使して、街に向かって走り出した。
―――
「ここ…ね。魔人を退けた人物とやらがいる場所は…」
私は何とかギルドで魔人を退けた人物の噂話を聞くことに成功した。その人物は王立魔剣学校に通っていて、今年入学したばかりのSクラス1年の銀髪の女の子だという。
あまりに荒唐無稽な噂話で、呆れそうになったが、何人もその話をしているものだから、取り敢えず来てみたけど…。
私の格好は黒い服に剣を帯刀した変出者。
見つかったらまずい…。慎重に探していこう。
あー、でも他の4人が先に殺しちゃってるかも…。
私だけで遅れて、もう既に終わってたら…。またタケルに馬鹿にされる…。
どうしよう。
私が悩んでいる最中に、目の前を巨大な魔力が通るのを確認した。
「うぇ?…あっ!銀髪の女の子だっ!追いかけなきゃ…!」
視界の端でギリギリ確認した銀髪の女の子に心が踊る。
まだ殺されていなかったのだ!と。
私は身体強化の魔法を行使すると、その銀髪の女の子を追いかける。
―――
アルトルの真上にあったのは裏路地だった。
周りの建物に被害が出るかもしれないが、フェルがちゃんと修復魔法で直してくれるだろう。
「ノア、修復魔法ってのはな、本来は時計や玩具などの小さい…」
「あ、ごめん。後で聞くから穴開けるよ」
俺は何か言っていたフェルを無視して、上級土魔法ロックバーストを行使して、地面に穴を開ける。
その穴に俺は飛び込んで叫ぶ。
「先生頼んだ!」
「全く人使いが荒いの」
グググと土が穴を塞いでいく。太陽の光が差し込まなくなった穴の内部では今はどうゆう感じで修復されているか分からないけど、後で聞けばいいや。
落下して5秒ほど経った時に、地面が見えてきた。そこまで深くは無かったようだ。
「低級風魔法ライズウィンド」
地面に上向きの風を巻き起こす。落下速度はそれによって軽減されて、無事に着地することが出来る。
着地して辺りを見渡すと、檻が何個もあるまるで刑務所のような場所だった。
そこの檻には様々な種族の奴隷、男や女、子供の奴隷と多種多様な奴隷が檻の中に閉じ込められていた。
「えげつないの」
そうフェルが口から言葉を零す。俺もそう感じている。
そこ一体に漂うのは悪臭だった。何かが腐ったような匂いから、排泄物の匂いまで、まるで管理されていない様子が伺える。
「こりゃぁ、第2騎士団という方々が見たら怒りのあまりに血管がブチ切れて卒倒しそうだ」
アルトルに教えてもらった、この国において奴隷差別をなくそうとする運動をしているという第2騎士団のことを思い出す。
「あ、ご主人様!」
奥の檻に捕らえられたアルトルが手を振ってこっちに呼びかけてきた。
「大丈夫か?どこも怪我は?」
「ないです!ありがとうございます!」
なんで急に敬語…。
まぁいいや。
兎に角ここから出さないとな。
「あらあら、害虫が迷い込んでいるわね」
声の方を向いて確認する。そして、闇から現れたのは長い赤い髪をした黒服の女の人だった。
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