第49話 歪みて堕ちた、支配の核 その捌
人化を解いて、ノアと対峙する。
我の毛皮は並大抵の魔法は防ぐから、中級魔法ぐらいなら弾けるため、対処がかなり簡単になる。
これなら、ノアを押し切って傷をあまり追わせることも無く気絶させられる。
「
――瞬間、ノアを渦巻く雰囲気が一変する。
魔法を放つのを突然やめて、ノアは何かを呟くと、目にも止まらぬ早さで接近する。
「くっ、目では追えぬか!」
視覚に頼らず、魔力感知に頼り音速の剣戟をさばいていく。
ノアは短剣だけでは勝てないと察したのか、再び魔法を織りまぜて攻撃を開始する。
「15連
後方に跳躍後、ノアの周りに水球が浮かぶ。数にして15個の追尾水銃が狙いを定めて殺到する。それを追うようにノアは短剣を構えて接近する。
これは防ぎようがない…か。
仕方ない、ノアのあの技を真似させてもらうかの。
「
迫る追尾水銃を全て弾き、ノアの短剣も弾く金剛石の要塞。流石、ノアが派生させて強化した魔法じゃな。理論を聞いておいてよかった。
ノアは短剣を弾かれたが、再び短剣を振り下ろす。
刹那の間に振り下ろされた短剣にはいつの間にか炎を纏わせノアは、金剛石の要塞を切り裂かんとする。
一瞬で金剛石の要塞は野菜のようにスパッと切り裂かれる。
距離を取ろうと後方に跳躍すると、追撃するようにノアが短剣を振り下ろす。
「避けようがないか。ノア、少し痛いが我慢するのじゃ」
我は、ノアに魔法を放つ。本当は撃ちたくないが、仕方ない。
「ウィンドショット」
我が放った風魔法はノアを吹き飛ばして、空に舞って消え去る。
「15連
着地ざまに計30個の上級魔法のアクアバーストの派生魔法を放つノア。
チッ、厄介極まりないな。
「
「
刹那の一閃。
フェルさえ感知できないほどの一瞬の間に接近したノアは短剣を左手に振りかざす。瞬間、片腕は宙を舞い、重力に逆らう力をなくし地面に落ちる。
…落ち着け、腕が1本無くなったからなんだ。我は風の神ニンリルに神力の一端を借り受けたフェンリルぞ。
取り敢えず、出血が酷い傷口を回復魔法で塞ぎ止血する。このまま体力が減ったらまずい。
「あァ、人間如きに片腕を取られるとは情けないわね」
チッ、ノーフェイスが五月蝿いが今はノアだ。兎に角、殺す気持ちでいかないと我が逆に殺される。
すぐにノアに倒れてもらって、あのノーフェイスを直ぐに殴りに行かないと気が済まない。
「我も少々本気で行くぞ、ノア」
身体強化の魔法を行使する。
身体強化の魔法はいつぶりだろうか。
「
ノアに光速の蹴りによる一撃が、吸い込まれるように脇腹を直撃する。
空中に投げ飛ばされたノアは力なく吹き飛ぶ。駆け出し、吹き飛びながらも魔法を放とうとするノアのところに追いついて地面に叩きつけるように殴る。
「あァ、流石だわ」
チッ、不快な声だ。
今すぐに殴り倒してやる。
―――
「あれ…、俺何やってたんだろ」
急な激痛によって目覚めた俺は、何が起こったか確認するために辺りを見渡す。
するとそこにはフェンリルの姿のフェルがいて、左腕が無くなっていた。
「フェル…、どうしたんだ?その腕…」
「ノアにやられたのじゃ。戦えるなら手伝え」
俺がやった…?どういうことだ?
状況が呑み込めないまま俺は立ち上がろうとするが全身に激痛が走る。
くっ、痛いには痛いが動けなくはない。
しかし、何故か魔力は完璧に回復していてる。これなら多少は戦えよう。
「あぁ、敵はあのカオナシか?」
「そうじゃ、1発で決めるぞ」
そうか、なら限界突破:電光石火を使うか。
この魔法は俺が限界突破:覚醒のデメリットがデカすぎて、速度1個だけを強化するようにした魔法だ。
速度だけなら、フェルにすら勝てるほどに強化されるだろう。
「限界突破:電光石火」
「あァ、私を一撃で倒せると思ってるの?」
「行くぞ、フェル」
そう言うと、フェルは飛び上がり空中に佇むノーフェイス目掛けて突進する。
俺もフェルに合わせるように飛び上がる。
「あァ、愚かしい」
ノーフェイスが、刹那の時間の切れ目で呟く。あいつ、余裕なのか?余裕でいられる何かがあるのか?
「…ッ!?」
ノーフェイスからどす黒い殺意が鋭く辺りに突き刺さる。
「
「ごあッ!」
そのノーフェイスの言葉が聞こえた瞬間、何かの力によって地面に叩きつけられる。
なんなんだこれ。体が持ち上がらない。
「今すぐにそれをやめろ」
拳で交戦しながら、フェルは静かに呟く。
フェルはノーフェイス交わる拳は既に音速の域を超えている。
「あァ、そう言ってやめる訳ないでしょ」
くっ、俺は戦力不足か…。
いや、どうせ動けないなら…。
「
最初から本気で行こう。
チッ、反動が酷い。ギチギチと肉体が軋む音が伝わる。
だが、1発だけノーフェイスに与えられればいい。その後はフェルが何とかしてくれる。
見極めろ、ノーフェイスが攻撃した瞬間の隙を見つけるんだ。
フェルが拳で、殴る動作に入る。だが、ノーフェイスは光速で避けて、雷魔法を放つ。
そして、フェルに追撃をしようと動き始めた。
――ここだッ!
「
ノーフェイスに向かって、雷を纏う短剣が差し迫る。
雷の権化であるノーフェイスでさえ不意打ちの一撃は流石にを見切れない。
こちらを認識したノーフェイスは後ろに1歩引く動作を始める。
だが、もう終わりだ。
一閃。
雷を纏いし短剣はノーフェイスを切り裂く。
肩から体にかけて刃が通り抜け、ノーフェイスは真っ二つに裂けて地面に向かって真っ逆さまに落ちていく。
「やった…か」
俺は反動で動けなくなったからだを不快に思いながらも、力なく地面に向かって落ちて行く。
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