第42話 歪みて堕ちた、支配の核 その壱
Aクラスの
「ノアは残酷じゃの。敵の魔法を模倣してそれを強化して放ち、相手の心まで折るとは」
「いや、まじでそんなつもりじゃなかった…」
そう言うが、Sクラスのみんなは信じてくれなかった。なんて奴らだ。
俺たち1年生の対抗戦が終わったので、もう出番は無いので、今日は上級生の対抗戦を見て終わりだ。
寮に戻ってもいいけど、折角なら上級生の魔法も見てみたいし、終わりまではいようかな。
オーウェンとエミリートとレオとフェルは寮に戻り、エマとカルトは引き続き対抗戦を見るようだ。
「しかし、ノアは凄いねー。あの魔法って本当に相手の魔法を真似したの?」
「うーん、いや防御魔法に防御と魔防を上げるプロテンドっていう魔法があるんだけど、それを派生させて強化した魔法ってのは理解したから俺も派生させて強化したら相手のより強くなったってこと」
「うん、ノアがおかしいってことは理解できた」
何故か変に納得するエマ。カルトもそのエマの言葉にうんうんと頷いている。
「…ほら2年生の対抗戦が始まるぞ」
俺は話を逸らして、対抗戦に見入るのだった。
―――
「はぁぁぁ、ノルザさぁん!」
自分の感情が抑えられないといった表情で、写真に向かって接吻をする男。
誰もいない部屋に、彼だけの息遣いが響き渡る。
「もうすぐだぁ…、待っててねぇ…」
男の妄想は、悪意となって更に増大して行くのだった。
―――
対抗戦は順調に進んでいき、無事に5年生まで終わった。
今は闘技場上にノルザさんが立っていて、優勝クラスを讃えるノルザさん。
「勝ったからといって驕っては行けません。負けたからといって諦めては行けません。今後も自分の力をあげれるように頑張って下さい」
うん、その通りだな。
俺も驕ってしまって不潔になったゴルバルドのことを見ているから余計に納得する。
そして、順調に進んでいく表彰式。
…ん?
一瞬だが、誰かに上から見られているような視線を感じた。
なんだ今の…。明らかに異常な視線だった。
…ちょっと探ってみるか。
「
この
ふむ、登場口の方になにかいるな。
今日は順調に進んだんだ、ここでなにかやらかすつもりなら退場して貰おう。
俺は
追尾水銃は真っ直ぐに登場口の方に突っ込んでいく。
だが、魔法は打ち消された。
「ん?ノアなにやってんのー?」
「あぁ、ちょっとな」
カルトが首を傾げてるのを横目に、追尾水銃が弾かれたのを警戒する。
位置はばれては無さそうだが、相手も警戒してしまったか。
「チッ、何だこの視線は」
不快感を思わず口に出して、舌打ちをする。
魔法にはこんな視線を送る魔法は無かったはず…。だとすると…。
…スキルか。
感覚が空いて視線を感じるのを顧みるに、なにか条件を満たして発動するアクティブスキルっぽいな。
だが、視線の正体は登場口の奥の方に戻って行った。
取り敢えず諦めたか。何が目的か分からないが、警戒はしていた方が良さそうだな。
そして、何事も無く表彰式は終わった。
―――
「取り敢えず何事もなく終わったわね」
後片付けを教師陣で行い、やっと終わった頃には夜になっていた。
「終わりましたね!校長!」
Sクラスのイザベラ先生が話しかけてくる。
「えぇ、お疲れ様でした」
「いえ!生徒たちがストレス発散になって良かったですよ!!」
今日はやけにテンションが高いイザベラ先生と、手伝ってくれた教師たちを返す。
「よし、あとはもう大丈夫。私も帰ろう」
「ノルザさぁん…。ひ、久しぶりだね」
私は声のした方を振り返る。
そこに居たのは確か…。
「Cクラスの5年のヒューゴくんじゃないですか。もうこんな時間ですよ、寮に戻りなさい」
Cクラスの5年生のヒューゴ・トルマリン。
最近、学校に通っていないと教師からの通達があったっけ。この学校に通っておいて不登校とは…、勿体ない。
「
突然魔法を放ったヒューゴ・トルマリンに対応出来ず、諸に受けてしまう。
これは…、拘束魔法!?
「ふひ…、やっとだ…。折角、僕たちの結ばれる日をみんなに見てもらおうと思ったのに、誰か邪魔しやがって…。ふひ、だがいい。2人だけってのもそれはそれで…」
ブツブツと早口で呟くヒューゴ・トルマリン。
「ヒューゴくん!何やってるの!?早く解きなさい!」
普通の拘束魔法なら解けるはずなのに、この魔法は解けない。
「ふひ…、解くわけないよ!やっと捕まえたんだ…!もう一生離さないよ」
くっ…。狂ってる…。
まるで何かに取り憑かれたかのような…。
「おい、何やってんだ変態野郎」
後ろを振り返ると、そこにはノア様がいた。
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