第149話
「ちっ…面倒なのが来やがった」
今にもみなみの腕を取ろうとしていた崇は、突然現れた道明寺限竜の登場に舌打ちをした。
どうやらこの三人はそれぞれ顔見知りなようだ。
わけがわからず、みなみは詩織と限竜を交互に見る。
「何、詩織、道明寺さんと知り合いなの?」
「………さぁね。それより紘太、この子をここから連れ出してよ」
「あっ、ちょっと詩織っ」
詩織は強引にみなみの手を取り、崇の視界から隠すように限竜の方へ押しつけた。
「んもぅ、一体何がどうなってるのよ」
限竜もこの状況がよくわかってないのか、困惑気味にみなみを自分の横に導く。
「とにかく、邪魔なのよ。その子、どっかやっちゃって。崇、行くよ」
「おい、いいのかよ。めちゃくちゃにしてやんじゃなかったのか?」
崇の方はまだ不服なのか、みなみの方を未練がましくチラチラと見ている。
たが、詩織は強引に彼の腕を引っ張り、店の扉を開いた。
「頼んだわよ」
最後に再び限竜に念押しすると、詩織と崇は店の中へ消えていった。
「ちょっと待って、詩織っ!話を…」
その詩織の後を追いかけようと、みなみが足を踏み出そうとしたところに後方から内藤が必死な形相で追いかけてきた。
それを見たみなみは内心、最近運動不足だと言っていたので、良い機会になったのではないかと思う。
「はぁ…ひぃ…はっ。急に車から飛び出して、どこ行くつもりだ。はぁ…これからラジオだって言ったろ」
「あぅっ、内藤さん…」
すると限竜がみなみの横から顔を出してきた。
「ちょうど良かったです。彼女とはここで偶然会ったんですけどね、何か向こうでトラブルに巻き込まれそうだったから確保したんです。ほら永瀬さん、仕事に穴を開けるつもりかい?」
「ほえ?あっ、ちょっと、道明寺さんっ。まだ何も聞いてないんだけど!」
限竜はいつものオネエ口調から営業用の口調に変え、内藤へみなみを押し付ける。
「あー、それじゃあ永瀬さん。気を付けて。それから仕事頑張ってね」
「がるーっ!」
限竜は笑顔で二人を送り出した後、すぐに踵を返し雑踏に紛れてしまう。
「一体何があったのか知らないけど、あまりこういった行動は控えてもらわないと。わかってるよね?」
「はい…」
内藤が言っているのは、去年みなみが街中で暴漢に襲われた事件の事だろう。
あの事件から事務所のタレントの管理体制がより強化され、みなみは逆に居心地の悪いをしていた。
「さぁ、乗って。もう途中で寄り道はナシだよ」
「わかってますよ。もう…」
ようやく車の前まで来ると、みなみは頬を膨らませながら乗り込んだ。
みなみの頭の中では詩織の強張った表情と、柄の悪そうな崇という男の顔がグルグル回っていた。
しかし何より謎なのは、その二人と顔見知りの限竜の事だ。
「なんであの人が……」
そろそろこの一連の謎解きに入ります。
それが終わるとクリスマス。
物語の終わりはクリスマスのライブ。
でも結婚式まで書いて終わろうかなという思いもあります。
何かこのペースだとお正月になりそうですね。
年末ギリギリまで仕事が詰まっているので、ちょっと更新休止してお正月休みにでも…と思ったのですが、まぁ残りのエピソードも僅かなのでこのまま頑張ってみようと思います。
次は限竜sideになります。
彼の素性が判明すると、大体謎解きは終わり…かな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます