第2話 変態メイド
学校へ向かう智也を見送った撫子。これから掃除、洗濯、夕食の仕込みなどの家事を行うことになる。
最初は洗濯から取り掛かるのだが、その前に洗濯物の山から1着のトランクスを取り出すと、それに顔を近づけていく。
「さて、今日の下着の仕上がり具合はどうなっているだろうか……」
下着の仕上がり具合とは、智也の下着にどれだけ匂いが染み付いているかという意味である。
撫子は智也を愛するあまり、変態の域にまで足を踏み込んでしまっているのだ。
智也が見ていない所では、彼の衣服や歯ブラシなどの私物の匂いを嗅いだり、舐めたり、口に含んだりとやりたい放題。その姿を本人が見たら、卒倒してしまうだろう。
「あっ……いい♡ 坊っちゃまのお尻から染み込んだ汗の匂いがしっかり残ってる!」
男物の下着を顔に思い切り押し付けると大きく息を吸い、彼の残り香をしっかりと味わう。
数回ほど香りを楽しむと、次は頭に被った。男物のパンツを頭に被る女性。これぞ王道の変態という潔い姿は、ドン引きを通り越して清々しささえ感じる。
パンツを被った状態でさらに深呼吸を繰り返し、口と鼻の両方から智也の温もりを吸収していく。
「さて、そろそろいくとするか……」
被っていたパンツを脱ぐと、今度は智也の尻が触れていた部分を舐め始める。
「んっ……れろ……坊っちゃまのお尻……♡」
微かに残る汗の跡を味わう彼女の表情は喜びに満ちていた。
「今度は股間……ふあっ♡」
智也の息子が触れていた部分にほんの一瞬舌を這わせただけで、全身がビクンッと跳ね上がる。
彼女にとってそこは一番美味しい部分であり、智也と愛の営みを行う光景が鮮明に脳に浮かぶほどの衝撃だったのだ。
ステーキで言うところのサーロインのような場所に数回ほど舌を這わせた後、満を持して口に含み、しっかりと味わうように咀嚼し始めた。
「おいひい……♡」
智也には絶対見せられない恍惚とした表情で下着を貪る撫子。
彼女によって隅々までしゃぶり尽くされたトランクスは、涎まみれになっていた。
「さて、次は……靴下をいただこうか」
涎でぐしょぐしょのトランクスを洗濯機に放り込み、次に取り出したのは2本の靴下。
校則に則った白い靴下を、まるで宝物を見る目で凝視する撫子。
「こ、この靴下に坊っちゃまの足が……!」
例のごとく、まずは匂いを嗅ぐ。靴下を鼻に押し付けてクンカクンカすると、足裏の蒸れた匂いが彼女の鼻腔を突き抜けた。
「これはまた良い蒸れ具合……! くそっ、こんなになるまで坊っちゃまのおみ足と触れ合っていたとは……羨ましすぎる!」
靴下に対して本気で嫉妬する撫子。
これが変態の道に進んでしまった者の末路である。
「はあ……私も坊っちゃまの足裏の匂いを嗅いだり、舐めたりしたい……。そして足の匂いに興奮する変態と罵られながら踏みつけてもらいたい……」
穢れた願望を吐露しながら靴下の匂いを嗅ぎ続けるが、ふと何かを思いついたように顔を上げる。
「そうだ! 足裏の部分を頭に押し付ければ、坊っちゃまに踏まれている気分を味わえるかもしれん」
大真面目な顔でそう言うと、足裏側を頭頂部に押し付けた。
「……踏まれている気分には程遠いが、案外悪くないな。これも日課に加えよう」
彼女の日課に、とてつもない項目が加わった瞬間である。
「よし、次はいよいよ味の方を……!」
まず足裏をチロっと舐めると、それだけで顔をトロンと蕩けさせた。
続いて爪先部分を贅沢に口に含み、靴下に染み込んだ智也の汗を吸い出すようにしゃぶり始める。
「んふっ……はふっ……♡」
顔を紅潮させ、艶めかしい吐息を漏らす最上級の美女。
抜群のスタイルも相まって、世の男性を悩殺する色気を醸し出していた。
しかしながら、行動はまさに変態そのもの。いたいけな少年の靴下を貪るケダモノと化していたのである。
「ちゅぷ……じゅるじゅる……! はあ、はあ……! 坊っちゃま……! 坊っちゃまぁ……♡」
愛する少年を想い、靴下にその情欲をぶつける撫子。
もう少しぶつける対象と方法を考えるべきだと突っ込むのは野暮というものだ。
(いつか、本物の坊っちゃまの足にむしゃぶりつきたいものだ……)
靴下をモグモグしながら変態思考にふけるケダモノ。
この妖怪靴下喰らいが洗濯に取り掛かったのは、30分後のことだった。
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