第13話 婚約者候補らしく?
アメリアは食堂の近くまで来て、廊下に飾られた絵画を真剣に見つめている。
「やっぱり本物のレンブラントは素敵ね。
ロージー、レンブラントはね光と影の魔術師って言われてるのよ」
「お嬢様、さっさと食堂に行きなせえ。こったらとこで油売って皆様をお待たせするんは礼儀知らずっしょ」
「ロージーの方言がどんどん酷くなってくわ。一体どうしたの?」
「ジョシュア様が方言を気に入って下さっとるで、安心して話しとるです」
「凄いわ、ロージーはジョシュアと会話できてるのね」
「お嬢様程じゃねえですが、随分と分かってきたです。
さっさと行きなんせ」
アメリアは大きく深呼吸して気合を入れた。
(そう、たかがドレスよ)
食堂の前に行くと、従僕が大きな口を開けて絶句した。
(まずは一人目ね、慣れれば大丈夫。よし)
食堂のドアが開かれると礼儀にのっとり男性陣が席を立ち・・椅子が三つ倒れた音がした。
「アメリア?・・どうしたんだ、その具合でも悪いのか?」
「イライジャ、随分な仰りようですこと。レディにそれは余りに酷すぎませんかしら?」
「すっすまない。いや、そう言うつもりではなくて、その」
イライジャは自分の失言に真っ青になった。
アレクシスはイライジャの横で大きく口を開け、顔を真っ赤にしてアメリアを見つめている。
ジョシュアはソフィーに向けにっこり笑って、親指を立てロージーを見る。
ロージーが笑って頷いているところを見ると、サムズアップを教えたのは彼女らしい。
ロージーもこっそりサムズアップしている。
「ジョシュアが・・オリバー・・ジョシュアが」
ソフィーは目を真っ赤にして言葉に詰まってしまった。
俯き加減で食堂に現れたジョシュアを見た時は必死に平静を装ったが、許容範囲を超えてしまったらしい。
使用人達が3人の椅子を直して全員が着席した。
その後は穏やかに食事が始まった。
まともに食事をせずチロチロとアメリアを見るアレクシスだけは、その度に横からジョシュアに脇を突かれている。
今日のアメリアは髪を緩くハーフアップにして、宝石のついたバレッタで留めている。
コルセットでウエストを絞り、肩口から胸元が大きく開いたドレスが女性らしさを強調している。
夕食の支度を始めた時に、ロージーがドレスやバレッタを取り出してきた時アメリアはびっくりした。
「ロージー、そんな物どうしたの!?」
「奥様が準備しなすったです。他にも何枚かありますです」
「そんな・・勿体ない」
「貴族のレディらしくするのは必要経費だって仰ってましたです」
「そんな必要ないし、そんなドレスなんて何年も着たことないのよ」
「初めてじゃないでしょうかね。こったらドレスなんて」
「そうかも、裾に刺繍を入れたら高く売れ「お嬢様、商売はなしですよ!」」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます