第9話 ようやく本領発揮

 走り出してきた二人はジョシュアを見て呆然としている。


「兄さん・・ジョシュアが笑ってた」


「ああ、見た。一体何があったんだ?」



「兄さん」(ってアレクシスが呼んだ方が珍しいよ)


「そう言えばお前、俺に兄さんって」


「いや、俺はそんな事は言うもんか。聞き違いだ」



 アメリアは、兄弟の不思議な会話に首を傾げていた。



「ジョシュア、何があった?」


「心配性」(ですね、イライジャは)


「だって、ジョシュアが・・」


「アメリア」(がおかしな事ばり言うから思わず笑ってしまいました)



「確かにアメリアは変な奴だと思う。それは俺も認めるが」



「何だか随分と失礼ですわね。顔を合わせもしませんでしたのに」



「お前は初っ端から訳のわからんことばかり言ってた」


「あんたは俺の自尊心を粉々にしてくれたし」



「意味が分かりませんわ。沈着冷静な家庭教師でしたのに」



「お嬢様、無理なすってたんですねぇ」


 アメリアはがっくりと肩を落とし、

「ロージー、あなたのが一番堪えたわ」




 初めて全員揃ってのお茶会となった。


(長かったわ。全員に会うまでに一ヶ月もかかったなんて)


 アメリアが一人感慨に耽っているとイライジャが突然、

「それで、お前は3人のうちの誰を選ぶんだ?」


「はい?」


「どれでも好きなのを選んでいいよ。俺は、6歳児並みだけどね」


「・・」


「選び放題」(って奴ですね)



「話し方が本当に似た者親子ね。信じられないわ。

あなた達のお母様が、本心からそんな事をお考えになるわけないじゃない」


「違うのか?」


「本音は違うに決まっているでしょう?

私は家庭教師なのよ。これで意味は分かって頂けたかしら?」



 3人は顔を見合わせた後、


「「「いいや、さっぱり(さっぱり)」」」


 仲良く口を揃えて返事をする3人を見たアメリアは思わず、

「双子の次は三つ子なの?」



 一旦口を閉じ、紅茶を飲んで気持ちを落ち着けようと深呼吸する。



「ソフィー様は、キャンベル公爵家で発揮した手腕をここで発揮して欲しいって言って下さいました。

私は表向きは婚約者・・候補だけど、本当はあなた方の家庭教師なんだと思います」


「俺達に女の家庭教師は要らんだろ?」


「女の相手なら自信ある」


「・・」



「皆さん其々、最低限のマナーさえお持ちではありません」


「口調」(が家庭教師モード)



「このまま滞在しても良いと皆様が思われるのでしたら、私は自分の仕事を全うさせて頂きたく思います」



「お前は婚約者候補だろ?」


「お前ではございません。アメリアもしくはあなたと仰ってください」


「でもさ、あんたって」


「あんたでもございません」


「・・」(厳しそう)


「厳しくはございません。6歳児でもできる事ですから」




「お嬢様、やっぱり魔女かもしんね」



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