第2話 わたしの中の私たち 涼子

幸せとは何か


涼子のトントンというキャベツを

切る音が静かな部屋に響き渡る


結婚して3年

16時のパートを切り上げ夕飯の支度をする

涼子はいつも考える


幸せとは何か


子供がいたら生活はもっと充実していたのだろうか


仕事でキャリアを積んでいたら

もっと生活は充実していたのだろうか


何もかも中途半端な私に

涼子は嫌気がさしていた


人生に楽しみなど無かった

ただ健康に生きているだけで良いのよ


亡くなった祖母の言葉を思い出す


そう、それで良いのだ


涼子は自分にそう言い聞かせながら

トントンとキャベツを切っていた

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