幕間〜ものがたり〜

 「むかしむかし、あるところに、1人の深い信仰心を持った男がいました。

 男は近くに住む人たちを集め、小さな村をつくりました。大人たち全員が集まって話し合い、男は村長になりました。


 男は特技も何も無い普通の男でしたが、たくさん考え、たくさん働き、やがて村はどんどん大きくなりました。


 村同士の争いが増えると、周りの村々の代表を集め、話し合いの場を作り、平和に解決しようとしました。


 しかしある日、年に1度開かれる代表たちの話し合いで、その中で自分だけが普通であることを知らされます。

 他の村の代表たちは皆、不思議な力を持っていたのです。彼らはそれを“魔術”と呼んでいました。


 男はいつも通りのように村へ帰り、いつも通り神様に報告をしました。

 そして男は初めて、神様にお願いをしました。

 どうか、私にもかの“魔術”なる術をお授けください、と。


 その時です。


 『我に魔術を願うのは、そなたか』


 神様は熱心に信じる彼の声を聞いていたのです。

 神様は言いました。


 『魔術を求むなら、それなりの対価が必要だ』


 と。

 

 男は夢中で頭を下げ言いました。


 『私が神に捧げられるものなどこの身しかありません。世界が危機に瀕した際は、我らが一族がそれを退けましょう』



 それを聞いた神様は、


 『良かろう、では、そなたら一族を対価として、そなたら一族に魔術を授けよう』


 神様はさらに言いました。


 『だが、その力は本来、人の子には過ぎた力だ。使えば、その分生命いのちを消費するだろう』


 神様はそう声を残し、いつの間にか消えていたのでした」

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