エピローグ

 結局、人族の実力では魔族には勝てず、ルナライト領は奪われてしまった。

 武力を以て領地を取り戻すべき、と謳っていた過激派は処刑され、残された僅かなルナライト領民も、帝国で奴隷の身分に落とされた。

 領主であったギルベルトは、アスモデウスの要請により身分剥奪と財産没収の上、サタンの元で働く事になった。サタンとアスモデウスの二人にこき使われているギルベルトは、職場でも住処でも忙しなく走り回っていた。

 それでも、アスモデウスからは大切にされており、疲労も見られず元気そのものだった。

 ルシファーと契約していたキャメルという少女も、現在ルシファーの元で一般常識を教わりながら働いている。

 ちなみに、二種族間戦争中、マモンはちゃっかり気に入った人族の子を、従僕にして連れ帰っていた。流石は強欲の悪魔である。

 

 アテレーゼ領はというと、拡張した分の領地は没収、元の王国時代の領地面積に戻り、魔界帝国に完全に帰属。貴族位のうち、候爵位を与えられ、魔界帝国アテレーゼ候爵領となり、皇弟オズヴァルドの管理下に置かれることになった。

 なのだが、今まで通りアテレーゼ家が統治し、オズヴァルドに報告書を提出する、という体制である。しかも、オズヴァルドは今まで通り皇城で軍の仕事も行う為、戦争前後で殆ど変化は無かった。

 変化があったとすれば、オズヴァルドとロゼアリアが結婚したこと位だろう。

 事実上の夫婦となったオズヴァルドとロゼアリアだが、オズヴァルドの溺愛ぶりが更に加速。時間があればくっついてイチャついている、と皇城で有名である。

 そんな様子を見る度にサタンがげんなりした表情になっているのだが、オズヴァルドは無視を決め込んでいた。

 

 

 世情は戻った。

 人族は、滅びる寸前となった。

 だが、魔族の庇護下に入る事が出来た者達は、これからも魔族の為に働きながら、この国、この世界で生き続けていく。

 ――いずれ、人族が絶滅する、その日まで。

 

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