16話 真実


 目が覚めると、今まで見たことも無いような場所であった。目の前には、ルビアやミアたちが立っていて、突然二人に抱き着かれた。


「バカ!」

「ぅぅ~」


(痛い......)


「その、ごめん」

 

 流石に、みんなに迷惑をかけてしまったので、謝るとラッドたちは逆に申し訳なさそうな表情をしていたが、ルビアとミアは何も言わずにジト目でこちらを見てきた。


「「生きててよかった......」」

「そ、それよりもラードンは?」


 今は余韻に浸っているより、生きていたことよりもそっちの方が大切だと思い、尋ねる。すると、ミアが説明を始めた。


「結論から言うと、捕まったわ」

「え?」


 それを聞いて驚いた。本当の計画では、ダンジョン内で襲われたところを捕まえる、もしくはその証拠をつかんで帰る予定であった。だけど、今回捕まえることもできなければ、ハッキリとした証拠を見つけられたわけでもない。


(それなのに捕まったって......)


「最初から説明するわ。ノアがダンジョンで倒れているところを私達、救出部隊が発見した時、ノアの隣に魔道具が一つ落ちていたの」

「魔道具?」

「そう。なんでそこに落ちていたかわからないけど、それが決定的な証拠になったってわけ」

「......」


(誰かが持ってきたってわけか?)


 いや、そんなことあり得ない。みんなの持ち物は、全員でチェックしたはずだ。そのなかに魔道具なんて入っていなかった。


(だとしたら......)


 そこで頭の中で、女性に話しかけられたことがよぎる。


{「もしかしてアリアブルって名前?」}


 なんで俺の名前を知っていたんだ? それに、なんであんな場所に居たんだ? 


「まあ見せた方が早いよね」


 ミアにそう言われて魔道具が発動させられた。すると、あたり一面、あの時の光景が流れ始めた。


「!!」

「こういうこと」

「そっか......」


 結局は、俺の計画は運よく成功したってこと。魔道具さえなければ、ラードンを捕まえることなんてできなかった。


「それで、ラードンはどうなるの?」

「それは後日判決が下るらしいよ」


 まあそうだよな。今すぐ判決ができるほど軽い刑になるはずがない。


 そこから、数日間は安静にしろと医者に言われたので、ベットの上で毎日退屈な日々を送るのだろうと思っていた。だけど......。


「ノア~。今日は私がご飯食べさせてあげるね!」

「ルーちゃん待ってよ! 昨日も食べされてたじゃない! 今日は私の番じゃない?」

「ノアは私の護衛なんだから、優先権は私にあるんです~。ミーちゃんはどこか言ってていいよ!」

「ノアも何か言ってよ! 私に食べさせてもらいたいよね?」


(......)


 ルビアとミアがご飯を食べさせてくれるって......。俺、一人で食べれるよ? どこか重傷を負っているわけじゃないし。そりゃあ、可愛い人に食べさせてもらえるなら嬉しいけどさ。


 すると、ミアがハッとした顔をして言った。


「ノア! 約束覚えてる?」

「??」


(なんだっけ)


「ほら、ダンジョンでの約束!」

「あ~」

「よかった。じゃあノア、エルフの国に来て」

「......」


 え? エルフの国に行くだって? いやいや、無理だろ! だって授業だってあるし、ルビアの護衛もあるし。それにエルフの国に行くってことは......。


「や・く・そ・く。だよね?」

「あ......」


 その時、ルビアが呆れたような顔をしながら言った。


「ノア。私もついて行くから大丈夫だよ」

「でも、学園は......」

「それも、多分大丈夫だと思う」


(大丈夫......?)


 首を傾げながら、ミアとルビアを交互に見ていると、ミアが嬉しそうに言った。


「じゃあ決定ね! やっと(パパに会ってもらえる)」

「ん?」

「なんでもな~い」


 こうして、エルフの国に行くことが決まった。



 

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