エピローグ
俺たちは学園長に呼ばれて、部屋の中に入ると深々と頭を下げられた。
「この度は誠に申し訳ない」
「「「え?」」」
「今回、私がきちんと調べていなかったから君たちを危険な目に合わせてしまった」
「......」
そこでやっと学園長が言っている意味が分かった。指導する立場であるのにも関わらず、俺たちを危険な目に合わせてしまった。それが自分のせいじゃなくとも、どれだけダメだったか。そして、それに王族がかかわっているのだから。
「俺は大丈夫ですよ」
「うん! 誰一人としてかけていないんだから大丈夫ですよ」
「そうそう!」
ルビアとミアも俺に続くように言い、ラッドとミーシェも俺たちの言ったことに頷いていた。
「そう言っていもらえると助かるよ」
「はい」
すると、先程まで緊迫した表情から一変して、少し驚いた表情をしながら俺たちに言ってきた。
「ここにいるみんなは、特別枠として学園にむかえることにした」
「特別枠?」
俺が尋ねたことと同時に、ルビアとミアも首を傾げながら尋ねていた。
「そう特別枠。本当なら学園に通わなくても卒業できるようにする処置のことだよ」
学園長がそう言うと、ミアたちは納得した表情になっていた。そこで俺もやっと少し納得した。この前ミアが言っていた学園の件で大丈夫って言っていたのはこういうことか。
「そしてラードンに対しては、こちらから他国に対しても処置をするように促す方針になった。これでラードンとクーエック王国が罰せられる方針になるはずだ」
すると、ラッドとミーシェは深々と頭を下げた。
「本当にありがとうございます」
「お礼を言われることじゃないわよ。当たり前のことをしたまでだから」
学園長はそう言ったが、ラッドとミーシェはそれでも負荷深く頭を下げてお礼をお礼を続けながら涙を流していた。
「最後にノアくん」
「はい?」
「まだ公にはできないけど、今回の功績を踏まえてアリアブル家が伯爵家まで上がることが決まった連絡が来たわ」
「え?」
(また爵位が上がるのか?)
この前、上がったばかりじゃないか。それなのにまた......。そこで一つ疑問に思う。
(俺の実家は本当にただの護衛一家なのか?)
普通ここまでスムーズに爵位が上がるなんて聞いたことが無い。それなのにこんなに早く爵位が上がるってことは......。
「これで伝えることは最後になるけど、何か質問はあるかしら? 一応、追って卒業要件などは伝えるつもりだけど」
俺たちは首を横に振って特に質問することがない事を伝えて、部屋を後にした。そこから学園を出たところでライラ―くんと出会って話しかけられる。
「皆さん無事でよかったです」
「ライラ―くんも無事でよかったよ」
「えぇ。それで皆さんはこれからどうするのですか?」
そこでミアが答えた。
「みんなで私の故郷に行こうと思ってね。ライラ―さんも休みの期間が取れたら来てくださいね」
「はい。ですが皆さんはそんなに長期間休みが取れたのですか?」
俺はライラ―くんに特別枠として迎え入れてもらったことを説明した。すると、驚いた表情をしながらも少し残念そうに言われた。
「そ、そうですか。やっとできた友達だったので少し残念ですが、たまには学園に戻ってきてくださいね」
「あぁ」
その後、お別れの挨拶をしてこの場を後にした。
★
そこから数日が経ち、ミアが俺たちに言った。
「明後日にはスクリーティアを立つけど、みんな準備は大丈夫?」
「あぁ」
「うん!」
それに続くようにラッドとミーシェも頷きいていた。
「よかった! みんなエルフの国を楽しみにしていてね!」
こうして、俺たちは魔法都市スクリーティアを後にして、エルフの国へ向かうのであった。
★
今回の騒動で、ダンジョンで出会った人がどれだけ重要な人物だったのか想像もしていなかった。そして、エルフの国で俺が言われること。それが俺の人生を大きく変えるのは遠い未来ではなかった。
※
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