4話 学園長との対面


 盗賊に襲われた日から数日が経ち、魔法都市スクリーティアに到着した。


「すごい...」


 この一言に尽きた。普通の国にはある程度固まった人種がいるものだ。ローリライ王国やエーディリ王国は人族が主に暮らしていて、ミア様が住んでいる国はエルフが大半を占めている。だからこそスクリーティアには様々な種族の人が居て驚いた。


 それに加えて、建築物にも驚かされる。普通の国は主に平面に建物があるのに対して、この都市は高低差があるような作りもされている。すべての建物の色が茶色であるのも一つの特徴である。


(多分、都市内で魔法の使用が許されているからだろう)


 一般的に闘技場以外の都市内で魔法を使うことは許されていない。でもスクリーティアは違う。被害が出ない程度なら魔法が使われるのが許されている。だから風魔法で2階に入り口に入るような作りをされている家もあった。


「ねえノア! 私もここで魔法を使えるようになるんだよね?」


「そうだね。逆に魔法が使えないまま帰ったら国王様にも怒られちゃうよ」


「そうだよね。私に魔法教えてね?」


「あぁ」


 魔法を教えることは俺の仕事でもあるしな。国王様にルビアのことを頼まれた。これは全面的に手助けをするってこと。護衛以外にも人間関係や魔法などを含めた勉強面。


(まあ魔法が苦手ってわけじゃないからいいけどさ)


「ラッドくんはここに来るのは初めて?」


「はい」


 突然質問したことに驚いていたが、すぐさま平然とした顔に戻って返答してくれる。それにしても初めてなのか...。まあ元王子だからってそうそう来れるわけでもないしな。


 馬車内で建築物を一通り見てから、学園長へ挨拶に向かう。下町の建築物とは違い、建物の大きさが大違いであった。それに加えて、外装の色は青色で、塔みたいな建物が複数個あり、そして一番目立っているのは何と言っても中央に時計がある建物。端から端まで見通せないほど大きな建物であった。


「大きい...。私たちってここに通うんだよね?」


「そうだね」


「家より大きい建物を見るのが久々すぎて驚いちゃった」


「まあ王宮より大きな建物なんてめったにないしね」


 ローリライ王国の王宮は世界的に見ても大きな部類に入る建物だが、それを凌駕するほど学園の建物は大きかった。すると一人の男性がこちらにやってきて


「初めまして。この学園の教師をしています。ヴァ―リオンと申します。ルビア・ローリライ様とノア・アリアブル様。そしてラッド・ドリロル様でよろしいでしょうか?」


「はい。こちらこそお招きいただきありがとうございます。ローリライ王国第二王女、ルビア・ローリライです」


「ノア・アリアブルと申します。ルビア様の護衛兼男爵家令息としてこちらに入学させていただきます」


「ラッド・ドリロルと申します。ルビア様とノア様の護衛として入学させていただきます」


「はい。よろしくお願いいたします。では学園長のところに案内いたします」


 一通りの挨拶が終わり、学園長のところに案内してもらう。


(複雑な構造になっているな...)


 入り組んでいる道に複数の教室。覚えるまでに時間がかかりそうだと思ったのが第一印象であった。でもなぜかルビアとラッドくんは平然とした顔で歩いていた。


(やっぱり王族って言うのはこういう場所になれているのか?)


 そう思っていると、あっという間に学園長がいる部屋に着いて中に入る。


「初めまして。学園長をしているザラ・リリネットです」


 呆然としてしまった。なんたって学園長が俺たちとあまり歳が変わらなさそうなエルフであった。

 

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