5話 学園の説明

 エルフが人間と比べて若く見えるからと言ってここまで若く見える物なのか? そう思っているとルビアが挨拶をする。


「ローリライ王国第二王女ルビア・ローリライです。この度、学園に招待をいただきありがとうございます」


「これからよろしくね。そちらの方はノア様とラッド様でよろしいですか?」


「はい。ノアは私の護衛役として、ラッドくんはノアの護衛役として来ていただきました」


 二人が話している時もずっとザラさんを見てしまっていた。それに気づいたのかルビアが俺のところにやってきて


「ザラさんを見過ぎ。ザラさんみたいな人がタイプなの?」


「え?」


 ザラさんがタイプ? いきなりどうしたんだ? そう思っていながらルビアを見ていると顔を少し赤くしながらそっぽを向いてしまった。


「何でもない!」


「ノアくんはエルフを見るのが初めてじゃないよね? 何かおかしなところでもあったかしら?」


「申し訳ございません。エルフを見ること自体が少なかったため、見とれてしまいました」


 嘘は言っていない。はっきり言ってザラ様は美人だ。男なんだから見とれて当然だ。だけど何歳なのかわからなくて見ていたなんて言えない...。


「若いのにお世辞がお上手なのね」


「あはは...」


 なぜかルビアが俺を睨んできているが、怖くて聞けない...。


「それで簡単な説明をするわね。この学園---スクリーティア学園は4年制であるのは知っているわね?」


「はい」


「そして学科として貴族科、執事科、魔法科、騎士科など様々な学科があるけど、ルビア様とノア様には貴族科に。ラッド様には他の学科に入っていただく予定です」


 まあわかっていた。でもできればラッドくんも貴族科に入ってもらいたい。だけど真実を言えない以上、貴族科に入ったら周りの貴族からなんて言われるかもわからないし。


「そして学園には進級条件などもあります。2年次に上がる際に魔法が使えなかったら進級はできません。これは学園に通われていたら誰でも通過できるでしょう。3年次に上がる時は学科ごとに試験を課します。ですが学園共通試験をクリアしていただければ学科試験は受けていただかなくて結構です。そして卒業要件としまして、ダンジョンをある一定のラインまでクリアすることです」


「はい」


 これもルビアの姉であるマヤ様から聞いていた。学園共通試験は厳しすぎる内容なため、一定の学生しかクリアできないが、学科試験はちゃんと勉強していればクリアできる。そしてダンジョン攻略が一番きついらしい。まあ卒業要件なんだから当然だ。魔法都市スクリーティアの周辺には複数のダンジョンがあり、そこで一定の階層をクリアすることによって卒業ができる。ここで留年する人が大半らしい。


「一通り説明は終わりましたが、何か質問があれば随時私のところ、もしくは教員に聞いていただけたら答えます」


「「「ありがとうございます」」」


「あ、後一番大事なことを忘れていました。ここは身分や人種が関係ない場所なのでそのような行動をとってしまいましたら罰則が行わます。最悪退学ですのでご注意を」


「了解いたしました」


 まあ当然だな。国王はそれも含めてルビアに人間関係の勉強をさせたいと考えていると思う。俺たちが部屋を後にしようとした時、ボソッと声がしたがよく聞き取れなかった。


「今年から4年間大変になるわね。王族が4人もいるなんて...」


 こうして学園生活が始まろうとしていた。この時はまだ楽しい学園生活が送れると思っていた。

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