7話 居場所


 初めて魔方陣を見た。円の中に星の図が書かれている。


(こうなっているんだ)


 そして数分経って魔方陣が完成する。


「魔方陣は完成したけど、ルビア様の居場所を探すことはできない」


「え? なんで...」


「それは私がルビア様と一緒に居たわけじゃないから。この魔法は一定以上一緒に行動していたもの人を探す魔法。だからルビア様を見つけることはできないわ。でもノアならできるかもしれないからやってみて」


「わかった」


 魔方陣に魔力を注ぎ込むが反応しない。


(なんでだ?)


 マリアの方を向くと


「ノア。もしかして適性属性は闇?」


「あぁ」


「この魔法は光属性だから使えないんだと思う」


「じゃあ...」


 ここで適性属性があだになるなんて。これでまた振り出しか...。そう思っていると


「ノアの魔力に私の魔力も組み合わせるわ。それならできると思う」


「助かる」


「この魔方陣には一つだけやらなくちゃいけないことがあるの。魔力を入れる際、ルビア様のことを考えること。そうすることによってルビア様がどこにいるか頭の中に入ってくると思うわ」


「あぁ。わかった」


「私はオリバー様でも考えるわ。そうすればオリバー様も助けてくれるかもしれないし」


 お互いやるべきことが決まったため、魔法陣に魔力を注ぎ込む。すると魔方陣が光出して頭の中に情報が入ってくる。


 中は暗く、大きな屋敷。中は...。テーブルと椅子が数個。椅子に何人か座っているのが分かる...。そしてルビアがベットに寝かされている。


(ルビアは無事っぽい。良かった。それにしてもここはどこだ?)


 もう少し魔力を注ぐ。するとより情報が頭に入ってくる。ローリライ王国の近くの森に屋敷がある。ここは...。そう思った瞬間マリアが魔力を注ぐことをやめた。


「どうした?」


「私の魔力じゃこれが限界。これ以上やってしまうと今後の影響にかかわる」


「そっか。ありがと」


 自分のことばかり考えていたことに後悔する。するとマリアが


「それでルビア様の場所はわかった?」


「あぁ。ローリライ王国の近くにある森。そこに大きな屋敷があって、そこにいる」


「え?」


 するとマリアが驚くような声で言う。


「どうした?」


「オリバー様もそこにいるかもしれない」


「「は?」」


 俺とアレックスがハモる。なんでオリバーとルビアが一緒の場所にいる? もしかして...。


「それもオリバー様がなんか変だった」


「変って? まあいい。すぐそこに向かおう」


 俺がそう言うと二人が頷き修道院を出る。外には王宮騎士が数人立っていた。多分俺とアレックスが一緒に居たのを見られたのかもしれない。だとすればマリアがいるここに来るのも納得する。


「ノア様。王宮にお戻りください。お願いします」


「それは無理だ。今から向かわなくちゃいけない場所がある」


「これは国王からの命令です。最悪力ずくでも行かなくちゃいけません。どうかお願いします」


 そこでアレックスとマリアが


「それは無理だ」


「ええ」


「お二人も罪に問われますよ?」


「「そんなの関係ない」」


 すると次々と騎士たちは俺たちに向かって剣を向けてくる。


「剣を向けるってことはお前たちもそれなりの覚悟はしろよ」


 アレックスがそう言う。するとマリアが騎士たちに魔法を唱える。すると騎士たちが1人また一人と寝始める。


「え? マリア。何をした?」


「かるい催眠魔法をかけただけよ。10分もしたら起きると思うから早く行きましょう」


「あぁ。助かる」


 こういう時光魔法って便利だなって実感する。光魔法なら敵を攻撃しなくても敵を無力化することができる。


 騎士たちが寝ている間に俺たちはローリライ王国を出て近くの森林に向かう。十分程度探すが見当たらない。


「本当にあるのか? 見当たらないけど」


「私とノアが同じ場所を同時に見たってことは絶対にここら辺にあるはずよ」


 そこから数分探すと、一カ所だけ時空がゆがんでいるところを見つける。


「あった!」


 俺が叫ぶと二人がこちらに近寄ってくる。


「もしかして幻術魔法?」


「多分...」


 幻術魔法を解く方法は2つある。1つ目は術者が解くこと。二つ目は幻術魔法以上の魔法を近くでうつこと。だから俺は落雷ライトニングを撃つ。


「おい! いきなり撃つなよ」


「そうよ。一言ぐらい言って。それに魔法を使ったってことはじき騎士たちにバレるわよ」


「悪い...」


 後先考えずに撃ったことを少し後悔する。でも落雷ライトニングを撃ったおかげで幻術が解けていた。マリアが呆れた顔で


「まあしょうがないね。行こうか」


「あぁ」


 3人で屋敷に近づくと何人か刺客が現れる。アレックスと俺で刺客相手に時間を稼いでいる間にマリアが催眠魔法をかけてその場をやり過ごして屋敷に入る。中は暗く、どこへ行けばいいかわからない時、一人見知っている奴がこちらに近寄ってきた。


「オリバーか?」


「...」


 俺がはなしかけるが返事がない。二人も驚いて棒立ちしていた。


「オリバー様! なんでここに?」


「...」


「オリバー、状況は後で説明するから俺たちと来い」


「...」


 アレックスとマリアの問いにも無視していた。いや、無視というよりオリバー自身、意識がないようだった。するとオリバーが俺たちに攻撃を仕掛けて来た。


(!?)

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