6話 元パーティメンバーに助けられる


 まずは敷地内にいる人メイドや執事に目撃したかを聞くが誰も知らない。


(なんでだ?)


 こんなに使用人がいるのだから絶対誰かしら目撃しているはずなのに...。俺はすぐさま王室に向かうがすでに中にはドーイさんが国王と話していた。


「ルビア様が攫われました!」


「本当か! 犯人はわかっているのか?」


「多分ノア殿かと」


「...。それはないと思うが、ドーイが言うなら一旦ノアくんの身の潔白をしてもらわなくちゃいけない。ノアを探せ!」


 国王の命令とともに騎士たちが総出で俺を探し始めに行った。


(クソ)


 いち早くこっちに来てればよかった。


 俺はすぐさま王宮を出ようとした時、後ろから肩を叩かれる。


(!?)


 ここでつかまるわけにはいかない。そう思い、心の中で謝罪しながら腹を殴ろうとした。するとそれを受け止められた。


「おい! いきなりどうした?」


「...。良かった。アレックスか」


「あぁ。それでどうした? そんなに慌てて」


 心配そうに尋ねてくる。言うべきか...。いや、迷ってる余裕はない。


「ルビアが攫われた」


「は?」


「だから...」


 ここで頼むべきか? でもなれ合いはしないといったし...。


(バカか!)


 意地を通さなければルビアの命が助かるかもしれないんだぞ! そう思った時思いがけない言葉を言われる。


「手伝うよ」


「いいのか...?」


「あぁ。元はと言えば俺がお前と練習していたのが悪いしな。それにルビア様が俺たち国民にとっての宝。そんな状況で助けない理由がない」


「ありがとう」

 

 今まで関係だったらアレックスはこんなこと言わなかったかもしれない。


「それでどうするんだ?」


 現状どういう立ち位置をしているか説明する。俺が国から追われていること。そしてルビアがどこにいるかわからないこと。


「ノアが追われているってことは俺も追われるってことか」


「悪い」


「いいって。でも今回だけだ」


「あぁ」


 自分の立場が悪くなるかもしれないのにこう言ってくれた。本当に感謝しか仕切れない。


「じゃあまずはルビア様を探しに行かなくちゃだな」


「そうだな。でも手掛かりがなくて...」


 そう。今ルビアがどこにいるかわからない。王宮内での目撃情報がない以上、後は下街に出て人に聞くしかない。でも現状の俺は追われているためそれができない。


「一つ手はある」


「本当か!?」


「あぁ。あいつが手を貸してくれればいいけどな」


「頼む。その人の場所に連れて行ってほしい」


 誰でもいい。力を貸してほしい。


「わかった」


 アレックスの後をついて行くと修道院に着く。


(ここは...)


「ここだ」


「もしかして、マリアか?」


「あぁ。あいつならわかるかもしれない」


 マリアか...。断られなければいいけど。でもそんなこと言っていられない。絶対に力を貸してもらわなくちゃいけない。


 中に入ると子供たちとマリアが遊んでいるのを見かける。


(こんな顔で笑うんだな)


 マリアがこんな顔をしているのを始めてみた。すると一人の男の子がこちらに来て


「あ! アレックス兄ちゃんだ! 一緒に遊ぼ!」


「ごめんな。今日はマリアに用があるんだ」


 アレックスがそう言ってマリアの方に近づく。マリアも俺たちが来ているのに気付く。最初は俺に気付いていなかったのか笑っていたが、俺を見ると顔が徐々に険しくなっていく。


「ねえアレックス。なんでノアがいるの?」


「それはまた後で話す。今回は頼みがあってここに来た」


「そう。でもノアの頼みなら聞かないわよ」


 ...。やっぱりか。


「じゃあ俺の頼みってことじゃダメか?」


「それはノアの頼みをアレックスが言っているってことでしょ? 嫌よ」


「でも!」


「だから嫌って言ってるでしょ?」


 このままじゃ埒が明かない。一刻を争うそうんだ。


「マリア。いや、マリアさん。お願いします。力を貸してください」


 床に膝をついて頭を下げる。するとマリアは声が裏返るように


「え?」


「もうマリアさんしかいないんだ。お願いします」


 マリアは怒鳴ると、子供たちは全員修道院を出ていく。


「なんであんたはそこまでできるのよ! 私たちはあんたを追放したのよ? そんな奴に土下座までして恥ずかしくないの!?」


「追放された仲間に土下座とか、恥ずかしいとかどうだっていい。今はルビアを救いたいんだ」


「...。わかったわ。それで何をすればいいの?」


「いいのか?」


「あんたにそこまでされて断るとかできるはずないでしょ。私は勇者パーティよ! 困っている人を助けるのは当たり前よ。それが元仲間であろうとね」


「あぁ。本当にありがとう」


 俺は顔をあげてマリアに現状の説明をする。


「そう。ノア今追われているのね。それって私も追われる可能性があるってことでしょ。本当に最悪」


「...。悪い」


「謝らないで。助けるって言ったんだから助けるわよ。それで何をすればいいの?」


 マリアがこう言ってくれて本当に助かった。俺は今までこいつらと向き合おうとしてこなかったんだなと今更後悔をする。


「ルビアの居場所を探してほしい」


「...。難しいわね。でもやっては見るわ」


「本当にありがとう」


「だから良いって! アレックスを見て思ったわ。私もあんたのこと誤解してたかもしれないし...」


 マリアがそう言って魔方陣を書き始めた。

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