10話 ルビア視点2
馬車の中でノアに毎日魔法を教えてもらえて楽しかった。あんな時間子供の頃以来だった。歳を重ねるにつれて私と一緒に話してくれる同年代が消えていった。多分私が王族だから...。でもノアは違った。いつも同じ目線で話してくれた。
(それがどんなに嬉しかったかノアはしらないだろうな...)
友達と言える存在がいないわけじゃない。でもそれは社交場での関係であり、それは本当の友達じゃない。だからノアの存在がどれだけ私の支えになったか...。
だから今回開催されるお茶会もノアに執事をしてもらうことにした。いつもなら顔色の伺い合いで憂鬱な時間だと思っていたけど、ノアが近くにいてくれるなら。そう思えるだけで頑張ろうと思えた。
そこから毎日ノアは執事の練習をしていたけど、何気にそつなくこなしていた。
(ノアだから当たり前よね)
ノアは何でもそつなくこなしてしまう。だから今回の申し出も少し申し訳ないとは思ったけど、ノアならって思った。案の定ノアは執事の基礎をお茶会までの1ヶ月で身に付けた。
(本当にすごい!)
でも不満なところもある。私に敬語で話すこと。執事だからってエーディリ王国についてから敬語をはなせばいいじゃない! まあノアがなんでも一つ言うことを聞いてくれるって言ってくれたからいいけどさ。
そこから馬車に乗ってエーディリ王国に向かう時もノアは敬語で話していたけど、雰囲気は今まで通り友達の時と一緒だった。だから毎日楽しかった。魔法を教えてくれている時のノアは真剣に教えてくれるし、ちょっとカッコいいと思った。でも私がそんな気持ちでいちゃいけないと思い、真剣に私もノアの話を聞く。
基礎属性がノアと対極的だったのには残念だったけど、考えを変えればノアの使えない魔法は私が使えばいいし、私が使えない魔法はノアが使ってくれればお互いを補える存在になれると思い嬉しく感じた。
でも最終日、近くで襲われている人がいるって言ってきてノアをそこに向かわせてしまった。本当なら行ってほしくない。友達を、一番信用している人を危険な場所に行かせるなんてしたくない。でも私が命じなければノアは行くことができないし、困っている人を助けるのは王族として、いや1人の人間として当たり前のこと。
そこから待っている時間が異様に長かった。いつ戻ってくるんだろう...。本当に生きて帰ってくるよね? もし死んじゃったら...。そう思うと不安で押しつぶされそうになった。そこから何分経っただろうか...。ノアが帰ってきたとき、どれだけ安心したことか。
その後は何もなくエーディリ王国に着いてわがままを言う。
(これぐらい良いよね?)
私のわがままにもノアは嫌そうな顔一つせず一緒に来てくれた。下町を回り終えて、最後にノアがどんなところで働いていたか知りたかったから冒険者ギルドに連れて行ってもらうと、ノアの顔が真っ青になっていくのが分かった。
(どうしたんだろう?)
するとオリバー様たちがでてきているのが分かった。そこからは最悪だった。ノアのことはけなすし、私はノアに騙されているとかいうし。許せなかった。
私とノアの関係を何も知らないのに変なこと言わないで! 口を出してこないで! そう思った。だから勇者が今後私たちのところに来たらどう対処するか考えた。またお父様にもこのことを報告しようと思った。
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