第2話 第二王女の護衛 信用されている感情
俺がルビアの護衛をやる? でも...。オリバーが言った通り暗殺者である俺が護衛をしたらルビアの印象も悪くなってしまうかもしれない...。
「ごめん。できないよ」
「なんで?」
「それは...。俺の職業が...」
言葉で暗殺者って出すのがこんなにきついなんて...。なんで俺は暗殺者一家に生まれてきたんだろう? こんなに苦しむなら俺は暗殺者じゃなくて、もっと普通の職業が良かった。するとルビアが怒ったような顔で言ってきた。
「暗殺者でしょ? 幼馴染なんだからそれぐらいわかってるわよ。なに? 暗殺者だから護衛できないっていうの?」
いつもは穏やかな彼女がこんな感情的に話しているのは久々に見た。王族である以上感情を外に出すことはあまりない。それは王族であるまじき行為に近いから。
「もし俺がルビアの護衛をやったら印象が悪くなっちゃう」
「そんなので王族の印象が悪くなるわけないじゃない。それにもしそう思うならノアが頑張って暗殺者の印象を変えればいいんじゃない?」
「でも...」
そこまで言われても決めきれなかった。そんな大層なことができる自信があるわけでもない。それに幼馴染であり、唯一同年代で親友と呼べる人が悲しむ顔を見たくなかった。
「うじうじ言わない! もう決定なの! それにさっきも言ったけど私はあなたの幼馴染よ? ノアが今までどれだけの訓練を受けてきたか誰よりも知っているつもりよ。そんな人を軽蔑することなんてできない」
「...」
「一回しか言わないからちゃんと聞いてね。私はノアのことを信頼してる。もしあなたに殺されてもそれはしょうがないことだと思ってるわ。だってノアに殺されるのよ? 誰かに殺されるならあなたに殺された方がいいわ。だから自信を持ちなさい。私が唯一信頼できる人。それがあなたよ」
「あぁ...」
王族が口に出してはいけないこと。それを俺の前で言ってくれた。ルビアの覚悟、信用されている、必要とされていることに気付き嗚咽してしまった。
「バーカ! 泣かないの! だからノアも私のことを信用してね?」
「あぁ」
「じゃあ護衛になるってことでいい?」
「うん。俺、ノアは命を懸けてルビアを護ります」
「よろしい! じゃあパパとママに言いに行こっか!」
「お願いします」
こんなに身近にわかってくれている人がいたのに気づけなかった...。それが情けなかった。ルビアは王族として言ってはいけないことまで言って覚悟を見せてくれた。なら俺もそれに応えたい。
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