【書籍・コミカライズ】追放されたので、暗殺一家直伝の影魔法で王女の護衛はじめました! ~でも、暗殺者なのに人は殺したくありません~
煙雨
1.1 護衛になるまで
第1話 勇者パーティ追放
「ノアがいるとパーティに不利益な噂が流れるかもしれない。だから今日の時点をもって追放する」
「は? どういうことだよ?」
突然ギルドに呼ばれると勇者であるオリバーに追放を言い渡された。俺がいると不利益な噂が流れるかもしれない? そんなはずない。勇者パーティに加入してから市民のため、みんなのために一生懸命努力してきたつもりだ。何か悪いことをしたわけじゃない。なのになんで俺がいるだけで不利益な噂がながれる可能性があるんだ?
「ノアは自分の職業を自覚しているか?」
「あぁ、暗殺者だよ? でも勇者パーティに入ってから人を殺したわけじゃない。なんなら人を助けてきたつもりだ」
「人を助ける? そんなのこのパーティにいたら当たり前だ。問題は暗殺者って職業の方だ」
「...」
暗殺者の何が悪いんだ? そりゃあ暗殺者と聞いたらいいイメージはわかない。それは一部の人たちが暗殺を仕事にするからだ。でも大抵の暗殺者は魔物を殺すために冒険者になったりしている。それは自分のため、もしくは人に危害を減らすために冒険者になったに決まってる。
「普通の職業に悪いイメージはあるか? ないだろ。でも暗殺者は違う。だからお前がいるだけで良い噂より悪い噂の方が出てくる可能性があるってことだよ」
「でもそれは可能性の話だろ? だったら俺がもっと頑張れば暗殺者って職業も良いイメージになるかもしれないだろ!」
「それじゃダメなんだよ! 勇者パーティである以上悪い噂が立つわけにはいかない」
「なんで今更...」
「今更? それはお前の実家が王族直属の名家だったからだ。でも王族から資金援助の確約ももらえた。だからお前はもう用無しってこと」
「...」
俺は勇者パーティの資金援助の橋渡しにされただけってことか? だったらここまでの数カ月間は何だったんだよ!
「だから早くパーティを抜けてくれないか?」
「本当に抜けなくちゃダメか?」
ここまで言われてもまだこのパーティにいたいと思ってた。だって数少ない同年代の友達。そう思っていたから。
「ダメだ。パーティメンバー全員も同意見だ。それにお前がいるとパーティの雰囲気も悪くなるんだよ! だからうだうだ言わずに抜けてくれ」
「そうか...。今までありがとな。楽しかったよ」
「あぁ。俺はノアが来てから毎日憂鬱だったよ」
泣きそうになりながら俺はこの場を立ち去っていった。
(なんでだよ!)
友達だと思っていたのに。やっとできた信頼できる友達だと思ってたのに。もしかしたら親友、かけがえのない人になると思ってたのに...。
広場でうずくまっているところで誰かが話しかけてきた。
「ノア? どうしたの?」
「え? なんでルビアがここにいる...んだ?」
幼馴染であり、この国---ローリライ第二王女であるルビア・ローリライが俺の目の前にいた。
「散歩かな? それでなんでノアはここにいるの? パーティのみんなは?」
「追放された...」
するとルビアの胸が顔に来て撫でてきた。
「そっか...。つらかったね」
「うん...」
「だったら私の護衛でもやらない?」
「え?」
ルビアの提案から俺の人生が変わっていった。この時まだオリバーたちは知らなかった。どれだけ俺が勇者パーティに必要な存在であったのかという事。そしてルビアとの再会によって勇者パーティが没落していく事を。
★
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