第19話 『ごきらららん』 その3


 ところで、恐るべき爆発を回避させた、ごきらららんたちは、この時、蚊帳の外、という感じになっていました。


 彼らの本来の役割は、地球のごき大将から依頼をされた、やましんさんの救出でありましたが、それは、まあ、表向きで、実は、ミタメクマ族の独立運動を推進させることこそが、主要目的でした。


 新たに開発した『ふにゃふにゃ弾』の効果の検証も必要な事でした。


 地球における、新たな時代を切り開く手段として、期待していたからです。


 まあ、言ってみれば、予行演習みたいなものです。


 また、宇宙ゴキに対する、『警告』にもしたかったわけです。


 もちろん、地球ゴキは、地球の支配権を勝ち取りたかったのですが、彼らは賢明にも、独裁ではなく、各生き物による、共同統治を行いたかったのです。(人類も含めて。)


 そこで、様々な策略を実行してきたのです。


 人間と、ごきのハイブリッド型が誕生したのは、半分くらいは偶然でした。


 それは、ごきの公式戦略ではなかったのです。


 ゴキ大将は、むしろ否定的でありました。


 それは、大将が、とある人類制作による複数の映画、を鑑賞したことから、決定的になったのです。


 『自然に反する行為は、やはり正しくないごき。』


 彼は、そう確信したのです。


 実際、ごきらららん、は、宇宙ゴキの弱体化に成功しました。


 そうして、ミタメクマ族が独立できる基礎を作ったのです。


 その先は、彼ら自身の仕事でしょう。


 なので、やましんさんたち囚人を連れて、さっさと脱出したかったのです。


 ところが、同じミタメクマ族でありながら、反体制派の介入によって、事態が複雑化してきました。


 とにかく、やましんさんと、ねこママ(のらねこ女王)と、行きがかり上、焼き鳥おじさんも含め人類の囚人たち約10名を、無事に回収し、早期に脱出することが、急務でした。


 そうしたら、このお話は、無事に、無理やりにでも、終わるはずなのです!


 地球人の囚人の内、すでに7人は確保しました。


 しかし、やましんさん、焼き鳥おじさん、それから、もうひとり、イカ焼きおじさんと呼ばれる元戦争屋さんを確保できずにいました。


 ねこママも、そこに、同行しているはずです。


 ごきらららんは、彼らの行方を探しておりました。


 地下のどこかにいることは、確実だろう、と思われたのですが、火山の溶岩や火砕流が、地下トンネル内になだれ込んでいることも、事実だったのです。


 そこで、村に被害が出ないように、トンネルを途中で爆破、遮断する必要に迫られていたのです。


 それには、宇宙ゴキの協力が不可欠でした。



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