第17話 『和平協議』 その8


 ぼくたちは、深い神秘を感じながら、しかし、かなりの恐怖感をも抱きながら、その黒い地底湖を見下ろしました。


 どのくらいの深さがあるのか、見当もつきません。


 明かりと言えば、反対の崖ぞいに、小さな照明が、いくつかあるだけです。


 『なんで、ここで止まったのかなあ。』


 『くまさん、なんとかならないにゃんか?』


 『くま~~~~。またく、反応しないくま。お手上げくま。』


 『また、押してみようか?』


 『うんにゃ。それしかないにゃん。』


 『では。やれやれ・・・・』


 と、ぼやきながら、ぼくは、暗い足元を気にしながら、カーゴから降りたのです。


 すると、その地底湖の湖面が、にわかに波立ってきたのです。


 『にゃん。女神様でも出るにゃんか?』


 『怪獣くまかも。』


 『あらららら・・・・』


 ぼくは、カーゴの後ろ側に掴まりながら、湖面を見ていました。


 すると、その地底湖の中から、円筒型のエレベーターのようなものが現れたのです。


 『な。なあ、なんだあ。』


 そうして、間髪を入れず、そのドアが開いたのです。


 光の中に、なにか、黒いものが浮かび上がりました。



    ********************



 焼き鳥おじさんたちが乗った、長い弾丸のような車両は、それはもう、驚愕のスピードで突き進みました。


 『これは、すごいなああ。』


 『だろ? ぼくも、びっくりだった。試運転の時は。』


 これならば、あまり時を置かずして、首都である村に到着しそうだったのです。



     *******************



 村のミタメクマ評議会は、和平に進むことを決定しました。


 そこで、たたき台となる、和平案の草案を作成し始めたのです。


 もちろん、反対のミタメクマ評議員もありました。


 それでも、宇宙ゴキが誠実かどうかは疑わしいモノの、先の司令官に比べると、ずいぶんまともなゴキのようだったので、ここは、賭けに出たのです。

 

 そこに、またまた、伝令が駆け込んできたのでした。


 『くま! 地下通路から、地下レジスタンスのくまが殴り込みみたいくま。』


 『なに! ううん・・・・・』


 みためくま君の父親が、これまた、低い唸り声をあげたのです。


 『警備くまを出せ!』


 『了解。くまくま。』


 

   ********************

 


 



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