第14話 『和平協議』その5
『ここは、危険じゃないのか?』
焼き鳥おじさんが尋ねました。
『危険じゃない場所なんか、ないくまま。』
『まあ、そうですな。どこに行く。』
『我々の、リーダーが、あなたに会いたがっているくま。』
『ほう・・・・・・くまさんのリーダーか。』
体のかなり大きなミタメクマ族のレジスタンス兵士は、あのトンネルの上側に掘られている小さなトンネル内を、おじさんに少し歩かせたのです。
すると、ちょっと広くなっている場所に出たのです。
そうして、奥側に白いぼろぼろのカーテンが掛かった場所がありました。
焼き鳥おじさんは、その中に案内されたのです。
そうして、おじさんは、あんぐりか、と、お口を開けました。
『あ。あ、あなたは。師匠。イカ焼きおじさん!』
それは、地球人の老人でした。
『やあ、久しぶり。元気してた?』
『いやあ。まあ、歳ですからなあ。でも、なんで、あなたがここに?』
『まあ、いろいろあってなあ。あの後、欧州でイカ焼きしながら宇宙ごきに抵抗していたら、ここに送られたんだよ。もう、地球時間で5年になる。ここには、鳥はいるが、イカがいない。はははははははは。』
『知らなかった。まったく、情報もないし。』
『まあ、そういうものだろ? ここは。それに、ぼくは、地下に潜ったからね。彼らと共に、宇宙ごきと闘っている。』
『なんと?』
『最初は、君だとは、わからなかったんだ。でも、軍曹が面談している声を聴いて、分かったよ。火山の噴火は、まあ、あり得るとは思っていたが、今とは考えていなかった。しかし、これは、ある意味チャンスだ。』
『あの・・・一緒に来た、人と、にゃんこと、くまの子は?』
『ああ。もう見失ったよ。すごいスピードで走り去った。ぼくらの制動可能範囲からは出てしまった。まあ、無事だろう。噴火からの避難で、手が回らなかったんだ。カギは、うまく渡すように言ったんだがな。ここの連中、プライドが高いんだ。』
イカ焼きおじさんという人は、この道の技術を、焼き鳥おじさんに仕込んだ、師匠だというのです。
けれども、もともとは、プロの戦争屋さんなのです。
外人部隊というものです。
しかし、宇宙ごきの地球支配により、失業し、それから、自ら、イカ焼きを極めたんだそうです。
つまり、焼き鳥おじさんの、上司だったんだそうです。
『ここの、くまさんたちは、首都の村の連中とは対立してるんですか?』
『ああ。そうなんだ。昔は、そりゃあ、仲間だったんだがねぇ、彼らは宇宙ごきの支配下に入ることで、様々な制約はあるが、それなりの一定の生活を維持してきた。ここのやつらは、それを良しとしなかった連中なんだ。今、村は混乱している。君たちのおかげだよ。これから、村に乗り込む。いっしょに行こう。そのための、高速戦闘カーゴも用意できた。早いぞお! 君たちのカーゴより。』
『むむむむむむう・・・・・・』
焼き鳥おじさんは、唸りました。
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