第11話 『和平協議』 その2


 『それでごきごき。2時間休憩にしたい、ごきごき。そこで和平案の草稿を、双方提出するごきごきな。』


 『2時間でくまか?』


 補佐役のミタメクマさんが言いました。


 『完全な文体でなくてもいいごきごき。そういうのは、専門の官僚ごきがするごきごき。』


 『いや、いいでしょくま。休憩くま。』


 みためくまさんの父親は、あっさりと承諾しました。


 すると、新司令官が、ぼそっと言うのです。


 『もし、必要ならば、トンネル内の捜索に、要員をおかししまごきごき?』


 『え? くま。・・・・・・・』


 父親くまは、実はかなりそれが気になっていたのです。


 『地下の反体制派は、あなた方にとっても、我々にとっても、やっかいごきごき。』


 『ふうん。地球人はどうするくま? 開放してやってほしいくま。和平を結ぶなら、彼らは地球に戻してもらいたいくま。』


 『ほう・・・ごきごき、それは、少し、考えごきごきな。』


 会議は、それで一旦、休憩となりました。


 しかし、こどもくまさんや、ぼくたちが、本当にかなり危ない状況だと言うことは、まだ誰にも分っていなかったのです。


 

   ********************:



 『出られないなあ。ママ、なんかいいモノ持ってないの?』


 『マンガじゃあるまいにゃ。ないにゃ。』


 『そうだよねえ~~~。ここで溶岩に焼かれるのかなあ。』


 ぼくらの着ていたスーツは、ここのくまさんたちに、もって行かれたので、ぼくらは普段着です。


 『まだ、わからないくま。溶岩の性質はいろいろあるくま。ここの火山は、わりとねばねばした溶岩らしいくま。そんなに、早くは流れないらしいくま。』

 

 『でも、流れて来てるんだろ。あの音。』


 『音は、反響するものくま。』


 『まあね。洞窟の中に入ってきたら、チューブチョコみたいに、押されてゆくんじゃないかなあ。』


 と、しろと同士が、よくわからない話をしているところに、なんと、焼き鳥おじさんが駆け込んできたのです。


 『焼き鳥おじさんだ。どうやって?』


 『あいつら、しろとだな。すきが多い。なんか騒ぎになって浮足立ったから、ぶん殴って、カギもいただいた。おいら、柔道5段、タルレジャ拳法師範、銀河華道免許皆伝、おまけに、調理師だぞ。だ。ついでに銃もいただいた。ちょっと安っぽいがなあ。さあ、出よう。ほれ。』


 おじさんは、ぼくに銃を投げてよこしました。


 使い方なんか知りません。


 ぼくは、ママに渡しました。


 焼き鳥おじさんは、ぼくたちの牢屋のトビラを開け、ねこママのところも、同様に開けました。


 『だれも見えないな。やつら、どこに行ったのか?』


 『まあ、いいにゃんこ。さっさと、逃げるにゃん。』


 『よし、付いてきなさい。後ろも注意。』


 焼き鳥おじさんは、慎重に進みました。


 しかし、その不気味な轟音は、ますます強くなってきます。


 『あの、乗ってきたカーゴが、残ってればいいが。さっきは、まだあったんだ。』


 『そりゃあ、ないにゃん。とっくに乗って逃げたにゃんこ。』


 『そうだよな。まあ、しかし、可能性はあるぞ。あれは小さいから、連中、ひとくまかふたくまくらいしか乗れないだろ。』


 『にゃんこ。』


 その時です。


 突然、洞窟内の明かりが、全て、消えてしまいました。




    ************************



 


 




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