第6話 『逆転』 その4


 ミタメクマさんの大人たちは、ぼくたちの乗ったカーゴを取り囲みました。


 『にゃんにゃん。これは、やりにくいにゃん。』


 『喰われるかもな。後生だ。焼き鳥の呪いか。』


 『うな、無責任な。』


 『我々は、約束を破って、地上・・・いや、地下にいる。これは、タブーだ。きみの仲間かい?この、くまさんたちは?』


 焼き鳥おじさんです。


 『ちがうくま。うちの村の一族ではないくま。』


 『降りろくま!』


 おそらく、ちょっと偉そうな立場の、大きなみためくまさんが言いました。


 そのくまさんは、リモコンのスイッチを操作したようです。


 すると、カーゴの囲いがすっと下がりました。


 ぼくらは、手錠をされて、降ろされたのです。


 『おまえは、こっちにこいくま。村の連中の悪だくみを知ってるんだろくま?』


 『くまあ~~~。悪だくみなんかしてないくまま。』


 『だまれくま。わかっているくまら。貴様たちは、あの宇宙ゴキと協定とか結びくま、事実上の奴隷状態を作りくま、一部だけが幸福な生活をしてくまいるが、その背後で、おれくまたちは、地下に逃げ延びたくまっま。我々、隠れくまは、『ミタメクマくま民連絡協議会』を設立した。間もなく、革命を起こすくま。きさまたち地球人間族は、捕虜だ。お前は、反逆くまとして、裁判にかけるくまま。』


 『まだ、こどもにゃんこ。』


 『ミタメクマに、子どもはない。みな、一人前くまだくま。』


 『むちゃにゃんこ。』


 『問答無用くま。ひったてくまい!!』


 『はっ、くま。』



 ぼくらは、洞窟の奥の、さっぱりわからない牢屋に放り込まれました。


 でも、ねこママは、いませんでした。


 他所に、連れて行かれたようです。



 『まいったなあ。』


 焼き鳥おじさんが言いました。


 『地球のくまさんとくらべても、体格がむしろ、良い位だ。相撲をとっても、勝てないかもなあ。』


 『んな、呑気な。どうしますか?』


 『ううん。にゃんこ頼みか。』


 『ママですか?』


 『あのにゃんこは、ただ者ではあるまい。』


 『まあ、そうなんですがね~~~~。ちょっと、正体は不明なんです。三重スパイとか、やってるらしいのは、分かってますが。』


 『うん。そうだろう。おれっちの経験からも、ああいうのは見たことない。まあ、あせっても仕方ない。考えるさ。まずは、定石通り、壁の見分から。』


 焼き鳥おじさんは、周囲の壁をなでで回りました。


 『噴火の様子が、気になるんですよ。』


 『ふうん。まあ、そうだが、どうにもなるまい。大噴火で、ここが埋まったら、それまでよ。』


 『あなたは、出来た方だ。』


 『そうか? あんただって、平気な顔してるぞ。』


 『これは、いつもそうです。』



 ぼくは、第3者症候群なのです。



 

    ************************

 

                       つづく

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