第5話 『逆転』 その3
ミタメクマ族の代表は、いうまでもなく、あの、『みためくまさん』のお父さんです。
宇宙ごきは、はっきり言って、ミタメクマ族を見下していました。
地球人類に対してもそうなのですが、最初に一回、油断して負けたことがあるので、却って強圧的になりやすかったのです。
それでも、現宇宙ごき総督が、わりに穏便な性格だったため、あまり、残酷なことはしませんでした。
皇帝は、かなり高齢で、めったに表には出ません。
この、新しい司令官は、現総督派でした。
だから、ミタメクマ族を懐柔し、今までよりも良い待遇を与えることで、支配を継続するつもりだったのです。
いままでの、ミタメクマ族なら、応じたかもしれません。
しかし、彼らは、地球ゴキの実力を見ました。
宇宙ゴキの攻撃が、まったく効かなかったのです。
そうなると、いくらか強気に出たとしても、おかしくはありません。
と言っても、いま、すぐに撤退されては、生活がなり立たないかもしれません。
そういう、システムになっていたのですから。
宇宙ゴキの司令官は、まず地球ゴキの真意を見極めたかったのです。
だから、地球ゴキの同行を、認めたわけです。
『あああ~~~~ごきごき。わらしは、このたび、新司令官となった、ハズレン・ゴキザスです。あんなたは、どなたごきごき。』
ミタメクマ族を差し置いて、そう、先に地球ゴキに尋ねました。
みためくまさんのお父さんが、むっととしたことは、ごきらららんには、すぐわかりました。
しかし、まあ、そういう、宇宙ゴキの真意は、わかっていました。
『ごきらららんでごき。地球ごき軍団南西特殊部隊隊長ごきな。』
『なるほど。相当優秀な士官さんごきごき。この先も、彼らの保護をごきごき?』
『ごき。まずは、地球人の救出が一番の目的ごきな。そこから先は、まだ、本部からの指示がないごき。』
『ほう・・・。ああたの一存ごきごきにはならないごきごきな?』
『ごき。それは、ならごきなん。あなたがたも、そうでごき?』
『たしかに、ごきごき。さて、皆さんのリーダはどなたごきごき。』
司令官は、ミタメクマ族たちを見つめました。
とりあえず、話をそらしたのです。
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暗闇の中を、そのカーゴは、のろのろと進みます。
どこにいるのかなんて、さっぱりわかりません。
『この速度にゃんこ、随分時間がかかりにゃんこ。』
『そうなんですくま。でも、こいつ、あまりに、勝手に動くくま。誰かが、操縦しているような気がするくま。』
『そりゃあ、コンピューター制御なら、そうだろう。』
と、焼き鳥おじさん。
『いやああ、くま。なんか、違うくま。コントロールパネルが効かないくまま。』
『降りるにゃんこ?』
ばっちゃーーん。
今まで開いていたカーゴの周囲が、突然閉鎖されました。
『どうやら、逃がしたくないにゃんこな。』
『あらまあ・・・・・』
『なんでだくま。おかしいくま。』
『君のせいじゃなさそうだね。』
ぼくが言いました。
すると、カーゴの速度が、急激に早くなりました。
『にゃにゃにゃ。リニアモーターカーなみにゃ。』
『降りたら、一巻の終わりだな。』
🚃
やがて、カーゴは、速度を緩めました。
そこには、ミタメクマ族の大人たちが沢山いたのです。
『ようこそくま。地下基地にくまま。』
🐻
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