第5話 『逆転』 その3

 ミタメクマ族の代表は、いうまでもなく、あの、『みためくまさん』のお父さんです。


 宇宙ごきは、はっきり言って、ミタメクマ族を見下していました。


 地球人類に対してもそうなのですが、最初に一回、油断して負けたことがあるので、却って強圧的になりやすかったのです。


 それでも、現宇宙ごき総督が、わりに穏便な性格だったため、あまり、残酷なことはしませんでした。


 皇帝は、かなり高齢で、めったに表には出ません。


 この、新しい司令官は、現総督派でした。


 だから、ミタメクマ族を懐柔し、今までよりも良い待遇を与えることで、支配を継続するつもりだったのです。


 いままでの、ミタメクマ族なら、応じたかもしれません。


 しかし、彼らは、地球ゴキの実力を見ました。


 宇宙ゴキの攻撃が、まったく効かなかったのです。


 そうなると、いくらか強気に出たとしても、おかしくはありません。


 と言っても、いま、すぐに撤退されては、生活がなり立たないかもしれません。


 そういう、システムになっていたのですから。


 宇宙ゴキの司令官は、まず地球ゴキの真意を見極めたかったのです。


 だから、地球ゴキの同行を、認めたわけです。


 『あああ~~~~ごきごき。わらしは、このたび、新司令官となった、ハズレン・ゴキザスです。あんなたは、どなたごきごき。』


 ミタメクマ族を差し置いて、そう、先に地球ゴキに尋ねました。


 みためくまさんのお父さんが、むっととしたことは、ごきらららんには、すぐわかりました。


 しかし、まあ、そういう、宇宙ゴキの真意は、わかっていました。


 『ごきらららんでごき。地球ごき軍団南西特殊部隊隊長ごきな。』


 『なるほど。相当優秀な士官さんごきごき。この先も、彼らの保護をごきごき?』


 『ごき。まずは、地球人の救出が一番の目的ごきな。そこから先は、まだ、本部からの指示がないごき。』


 『ほう・・・。ああたの一存ごきごきにはならないごきごきな?』


 『ごき。それは、ならごきなん。あなたがたも、そうでごき?』


 『たしかに、ごきごき。さて、皆さんのリーダはどなたごきごき。』


 司令官は、ミタメクマ族たちを見つめました。


 とりあえず、話をそらしたのです。



  *********************



 暗闇の中を、そのカーゴは、のろのろと進みます。


 どこにいるのかなんて、さっぱりわかりません。


 『この速度にゃんこ、随分時間がかかりにゃんこ。』


 『そうなんですくま。でも、こいつ、あまりに、勝手に動くくま。誰かが、操縦しているような気がするくま。』


 『そりゃあ、コンピューター制御なら、そうだろう。』


 と、焼き鳥おじさん。


 『いやああ、くま。なんか、違うくま。コントロールパネルが効かないくまま。』

 

 『降りるにゃんこ?』


 ばっちゃーーん。


 今まで開いていたカーゴの周囲が、突然閉鎖されました。


 『どうやら、逃がしたくないにゃんこな。』


 『あらまあ・・・・・』


 『なんでだくま。おかしいくま。』


 『君のせいじゃなさそうだね。』


 ぼくが言いました。


 すると、カーゴの速度が、急激に早くなりました。


 『にゃにゃにゃ。リニアモーターカーなみにゃ。』


 『降りたら、一巻の終わりだな。』



             🚃

 


 やがて、カーゴは、速度を緩めました。


 そこには、ミタメクマ族の大人たちが沢山いたのです。


 『ようこそくま。地下基地にくまま。』



                 🐻


   ************************ 

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