第4話 『逆転』 その2 


 ぼくらは、真っ暗な、はてしなく続く洞窟を、ヘッドライトを頼りに進みました。


 ときどき、横穴があるのです。


 しかし、みためくまさんは、意外なくらい内部をよく知っていたようでした。


 『あそび場にしてたくま。』


 『にゃんこ。危ないあそびにゃ。』


 『うん。いなくなった子もいたくま。そこを右に行くと、火山の下の方に着くくま。普通は大丈夫くまけど、巨大噴火になったら、ここは溶岩が流れるらしいくまら。壁に触ったらわかるくま。火山岩くま。』


 『そりゃあ、焼き鳥おじさんじゃあなくて、焼き肉おじさんになるなあ。』


 『冗談になりませんね。』


 『さっさと、行くにゃんこ。』


 その時でした。


 向こう側から、怪しい、一つ目怪人があらわれたのです。


 その光は、どんどん、大きくなります。


 みためくまさんが叫びました。


 『やたああくま。カーゴが見つけてくれた。もう、安心くま。』


 そうです。


 それは、サファリパークの中の見学バスみたいな感じの乗り物でした。


 『ささっと、のるくま。』


 言われなくても、ねこママがまず乗りました。焼き鳥おじさん、ぼく、最後に、みめくまさんが、乗り込むと、バスは、反対側を頭にして、進み始めたのです。


 運転手さんは、いません。


 『自動操縦にゃんか。すごいにゃん。ミタメクマ族の発明? それとも、宇宙ごき?』


 『ぼくらのご先祖が作ったくま。今は、作れない。惑星中にあったけど、どうなってるんだか分からない。』


 特に舗装されているようでもないのですが、乗り心地はなかなか良いのです。


 『ずいぶん。しっかりした足回りだなあ。』


 焼き鳥おじさんが、感心したようにいいました。


 『べつに、パトカーで来なくても良かったような。』


 『これは、高いところには行けないです。地の中を這うだけです。


 みためくまさんが応えました。


 ただ、スピードは、あまり早くはありません。



   ***************************



 宇宙ゴキと、ミタメクマ人との和平協議は、予定通りに、惑星ミタメクマの、宇宙ゴキ本部で行われることになり、ミタメクマ族の代表6人が建物に入りました。


 すったもんだの末、護衛の地球ゴキ、3ごきの同行が許可されました。


 武器は、受付で預かりと言う条件です。


 しかし、宇宙ゴキは、かなり不利な状況に陥っていました。


 というのも、ごきらららんは、地下の爆弾の起爆装置を改修して、そのスイッチをあの測定機に組み込み、自分が秘かに持って来ていたのです。


 だれも、それが武器だとは思いませんでした。


 懐中電灯みたいな感じです。


 実際に、懐中電灯にもなります。


 全員が席についてから、護衛にあたっている、ごきらららんが、その事実を明かしました。


 『そうれは、事実ゴキゴキか?』


 『もち。ごき。やってみっごきか?』


 『いや、いや、結構ですごきごき。』


 新しい司令官が言いました。


 『あなたのことは、母星本部から情報をもらったごきごき。ただごきではないごきごきなな。』


 『ほっほほほほほのごき。』


 そうして、この、非常に困難な和平会議は開催されたのです。



  ******************************


 

 宇宙ごきの母星では、総督閣下が、突如倒れたのです。


 非常に悪性の急性宇宙ゴキがんでした。


 

      ********************************



                            つづく!


 


 





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