060;邪竜人、討伐すべし.10(姫七夕)
《マスカレイド》――それはここ、【神聖ルミナス皇国】におけるユニーククエスト〔覚悟の仮面〕を
皇国だけじゃなく、【ダーラカ王国】では〔武侠の試練〕、【ギルツ連邦】では〔王剣と隷剣〕、そして【アルマキナ帝国】では〔軍人の矜持〕というそれぞれユニーククエストを
そして《マスカレイド》というスキルを使用したということは、ロアさんは〔覚悟の仮面〕を
後衛の位置からはよく見えませんが、その顔は今、マナそのもので編まれた仮面に覆われている筈です。そしてその仮面こそ、皇国が最強と称される
一騎当千、という言葉を体現するかのような、実に悪意的な
また一時的に[再生]という自動的に
スキルは魔術と違って
強力なスキルほどのこの
それを短縮してしまうのですから、ロアさんは《マスカレイド》中は例えばあの《レイブレード》や《スプレディンググリッター》を連発できるのです。
しかしいいこと尽くしではありません。その代償として、《マスカレイド》中は[侵蝕]という、
しかも、[侵蝕]が解除されない間は減少した
ロアさんの覚悟を感じました。きっとぼくたちは、ロアさんのその覚悟をもってしても、ロアさんの死亡無しにあの
ロアさんはそれでも、この流れを変え、ぼくたちの心に火を点けたいのだと、ぼくはそう思いました。
なら、それに答えないのは冒険者じゃありません!
「アイナリィちゃん。防御、よろしく」
「え? いやそら分かっとるけどもやな……」
ふぅ――頭を空っぽにするようにひとつ息を吐きました。熱に浮かされて肝心なところで噛んでしまっては堪りません。
ぼくのレベルは現在26、行使できる
大技の使用後で隙の出来ている今こそ、大ダメージで戦況を後押しする
ここは――やるしかありません!
「――我、万物の素にして
万象の源たる魔に語り掛けん――」
弓から剣の形状へと変化した〈ブラックウィドウ〉を振るい、最前線ではロアさんが猛攻撃を仕掛けています。
巨大な白い斬撃が地に手を着いて身を落ち着ける
「URYYYYYYYY!」
そこに隕石の如く降って来るアリデッドさんの《スティングファング》が突き刺さります。とてもパーティを組んでいないとは思えない見事な連携です。
「うおおおおおおおお!」
《
「行け行けぇ!」
「押せ押せ押せ押せ!」
攻撃部隊も次々と強力なスキル・魔術を繰り出します。攻めること火の如しです。
「――肉体を喪えど 魂はここに在り
追憶は遥か彼方 数多の戦場を駆け抜けた
今一度 鉾よ集え
そしてぼくも今、最終節を唱え終わりました。《
「――《
防衛部隊の前衛陣の足元に巨大な魔術円が拡がり、紫電をパチパチと迸らせながら半透明の人影を浮かび上がらせます。
『我ら盟約に従い』
『巨悪を討つため』
『この地に馳せ参じた』
『いざ』
『参らん!』
『『『『『うおおおおおおおお!!』』』』』
冒険者たちに交じり、振り翳した剣を払い、薙ぎ、次々に攻撃を叩き込んでいきます!
本来行使できる
「次、行きます――!」
まだまだぼくだって止まりません。高位の魔術を行使できる
攻撃よりも支援や妨害に傾倒しているアルマですから、呼び出した援軍も強化していきます!
「《
冒険者の戦団の前衛陣も巻き込んで、その行動速度を高める魔術を付与します。続いてぼくたち後衛陣に《魔術特攻》のパッシブスキルを一時的に付与する《
「はぁ、はぁ、はぁ……」
碌に息衝ぎもしなかったおかげでちょっと酸欠……そんなぼくの肩にぽん、と手が置かれます。
「やるやん――うちも負けられへんわ」
鼓舞された戦士の笑顔でぼくを労うのはアイナリィちゃんです。そして二人で前を見ると、攻められっぱなしだった
「失礼します、
補給部隊の子が〈マジックポーション〉の栓を抜いて、中身の碧く輝く液体をドボドボとぼくに振りかけていきます。液体はすぐに浸透して余分な量は揮発するのでべたつきません。
「ありがとうございます!」
「はいっ」
頭の天辺から足のつま先まで全身猫の着ぐるみで固めた子でした。あれは
「《
アイナリィちゃんが巨大な防壁を展開し、
気が付くとアイナリィちゃんの後ろには補給部隊の列が出来ていて、まるでベルトコンベアーみたいに次々と〈マジックポーション〉をぶちまけていきます。これはアイザックさんの指示でしょうか?
「へへ、うちランキング載るかも知らんね」
「そしたら凄いよね」
「頑張らんとあかんわ! 《
先程の《カラミティストーム》で後衛の攻撃陣が多くやられたのは手痛かったですが……しかし皇国の騎士団やエルフ、それに追加の冒険者パーティの増援もまだまだ続きます!
押し切って……ヴァスリ初のお祭りを全員で
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